べにはこべ

フランスをすきになったのはこの出合いから/『紅はこべ』

本から得た影響のみで構成されていると言っても過言ではないくらいに影響を受けやすいわたしなのですが、記憶力もざるなので基本的に読んだ本のことはどんどん忘れてしまいます。

記憶の彼方にある本からじわじわ影響されて今のわたしがあるというのもちょっとこわいな…と冷静に考えると思うのですが、ずっとすきでいるものに影響を与えた本はさすがに覚えているものもいくつか。

今後いつ忘れてしまうかもわからないので、少しずつ棚卸ししていけたらいいなと懐かしい気持ち全開で書き留めていくことにしました。

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国の中ではフランスに15年以上恋い焦がれています。それは実際に現地を見てからも変わらなくて、言語も街並みも建物もだいすきです。

ファンタジーがすきなので当然イギリスもすきなのでは?と思うし、もちろん舞台巡りの目線からすると、イギリスという国は本当にたまらない場所なのだけど、それでも最も心惹かれているのはフランスなのです。

それはきっと『紅はこべ』(バロネス・オルツィ)に出合ったことが原因なんじゃないかなと記憶を辿ると思うのです。

紅はこべの舞台はフランス。フランス革命のあと貴族が軒並み死刑判決をうけていくなかで、「紅はこべ」と呼ばれる集団が処刑直前の貴族たちを救い出していくんですね。それを新しい政府たちが追う…っていう物語なんだけど、その攻防が激しくて読みながらぐっと手に力が入ってしまうんですよ。

それから、主人公として登場するイギリスの社交界で圧倒的な人気者のマルグリート。この人の旦那さんもすごくかっこよくて人当たりの良い人気者で、夫婦揃って憧れの存在。だけど、夫婦仲は冷え切っていて、パーティが終わればもう会話もほとんどしない状態。

だけど、マルグリートは旦那さんのことをすごく愛しているから、その片思い具合が本当に切ないのです。この冷え切った状態にも理由があって、それが今回の紅はこべの一件と絡みに絡みまくって、最後まで一気に読んでしまう…という。

この本が出版されたのは1905年と100年以上昔のこと。マルグリートはこの騒動のためにフランスまでいくし、けっこう危ないこともしちゃうのだけど、この時代の女性として「ありなのか?」みたいなやりかたがとんでもなくかっこいい。

この冒険と歴史と恋愛のはらはらが絶妙に刺激的で、たぶん初めて読んだのは小学校5、6年生のころだったと思うのだけど、のめり込むようにして読んだことを覚えています。

それがきっかけで「フランス革命」に異常に興味関心をもつようになり、図書館で調べまくって、結果フランスもすきになる…という。

「フランス革命がすき」な人(歴史上の事件ですきもきらいも失礼な話だとは思いつつ)って結構いると思うのだけど、あまり『紅はこべ』を読んだ人とは出会ったことがないので、いつか出会えたらいいなと思っています。

とはいえ、もう知識もあやふやだし、紅はこべ自体ずいぶん読んでいないので書きながらまた読みたくなってきてしまいました。

他にもきっかけ本シリーズ(?)として
・青い鳥文庫から始まった「ミステリ」好き
・cobalt文庫から始まった「京都」好き
・分厚すぎる3部作から始まった「ファンタジー」好き

などなどあるので、じわじわ書いていきたいと思います。

あと、前に江國香織さんだけ書いたのだけど、好きな作家さんとの「出合いの一冊」も書きたいな。

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