あなた1人が聴いてくれたらもうそれでいい

思い返せば長い長い片思いでした。
どうしようもない、遠い憧れにも似たような恋でした。

明日あなたは結婚する。

知ってはいるだろうけどわたしは器用な人間じゃない。
人と付き合うのが上手くはないのだ。

わたしの人生において、友人と呼べる人をあげたならばとても少ない。そんな数少ない友人とさえ、たまに隙間を感じてしまう。

無理をしてしまう。
相手に合わせてしまう。
聞いているようなフリ、わかったようなフリ、どこかのドラマで見たような慰め。
わたしはそうしたもので構成されているの、自分の本心がわからないの、ううん、分かっているのかもしれないけれど吐き出せないの。

でもね、あなたそんなわたしを変えてくれたわ。

あなたはわたし心の中に寄り添ってくれた。
あなたの言葉の一つ一つがわたしに寄り添ってくれた。

眠れない夜にはあったかいハチミツ入りのミルクみたいに心を温めた。
悲しくて苦しい夜には、そんな日も必要なんだよ、大丈夫さと励ましてくれた。
恋に敗れた時だって、そっと隣にいてくれたわ。
後一歩の勇気が必要なときに背中をおしてくれた。
頑張りすぎてしまったときに、息ができなくなってしまったときに、あなたは空気をくれた。
おかげで私は息をすることができた、大袈裟にいうと生きていけたのよ。

あなたは誰にとっても優しいひと。
わたし以外の誰にでも平等に、あなたは自分に歩み寄る人に不思議な力をくれたの。
こんな広い世界で、ひとりぼっちなわけがない、寂しいじゃあないかってみんなに寄り添ってくれたのね。

とても素敵な人よ。

わたしがずっと恋をしていた人。

あなたが大切にしたいと思うこの世でただ1人の女性がどれほどまでに幸せなのか、考えてしまうわ。

あなたが紡ぐ愛を独り占めできてしまう彼女がうらやましいの、憧れてしまうの。

でもきっとあなたのことだから、私にも今まで通りの愛を運んでくれるのよね。
寄り添った人達全てに、あなたはこれからも変わりなく愛を唄うのよね。
きっとそこには家族をもったあなたの幸せも乗せて。

長い長い片思い。
触れることもできなかった。
同じ空気を吸うことが精一杯だったわ。

でも、とても幸せよ私。
心の底から祝福しているの。
あなたが寄り添ったたくさんの人たちもきっとそう。
誰よりあなたの幸せを願っているわ、嬉しいの、あなたが選んだ未来を私たちに見せてくれることが。

ただ1人、貴方さえ聴いてくれればそれでいいと思う。
ただ1人、貴方の目に届いてくればそれでいい。

あなたはただ1人を見つけたのね。
どうか幸せに。
そしてこれからも歌に乗せて、あなたの幸せを魅せてくれますように。

遠い憧れにも似た恋でした。

◇

※藤くん本当に本当に結婚おめでとうございます。朝から幸せで泣きました、ありがとう、ありがとう。