ふわっふわのはんぺん

すき焼きに入れると美味しいです。 短いお話をのんびり書いていきます。 あなたが素敵…

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すき焼きに入れると美味しいです。 短いお話をのんびり書いていきます。 あなたが素敵な1日を過ごせますように。

最近の記事

空がクリームソーダに溶ける前に。 ①(長編予定)

夜明け前 佐原 小春の話  ー 保健室の窓から、ずっとあなたのことを目で追っていたんだ。 大人になった今だから言えることなんだけどね。ー 「まずはあなたに、私の昔の話から聞いてもらおうかな。ちょっともう、12年も前になるんだけどね、歳をとるって嫌だねぇ。」 クリームソーダの上に、ちょこんと飾られているさくらんぼをそっと避けながら 彼女は昔話を始めた。 ♢ 朝、目が覚める度に小さく絶望する。 これは誰にでもよくある思春期の葛藤だ。 何度目かのスヌーズを止めて、私は

    • 気づけば全く投稿する余裕がなくなっていました。またゆっくり一つずつ物語りを綴っていきたいです。

      • 詰まる

        さよなら一つ影になって伸びた 繋いだ手が離れた水溜りの向こう側 愛した言葉もこの想いも あれだけの時間が見えなくなった 君が好きな僕も 僕が好きな君も 昨日に置いて来たんだよ 僕が愛した誰かも 君が愛した誰かも もう今日にはいないんだよ 変わらないまま 僕と君と繋いだ糸が バラバラに解けては落ちて アスファルトに水玉模様 変われないまま 今日まで生きた心は 今もほんとはまだなんて 足元に波紋を刻んだ

        • それは君が思っているよりもずっと

          「まぁた、彼女にフラれたよ。大事にしてたつもりなんだけどなぁ。なんでいつも俺は長く続かないんだろう…」 「うーん…、鈍感だからじゃない?それより呑みすぎだってば…明日も仕事でしょう?」 「やっぱり、友達は裏切らないよなぁ…」 「あ!こら!寝るな!」   3ヶ月前できた歳下の可愛い彼女に振られて、酔い潰れている目の前のやつこそ、ぼくの好きな人。 「友達」 その言葉は鎖みたいに簡単にぼくの身動きを取れなくしてしまう。 こうやってこいつが恋に落ちていくのを、叶うのを、

        空がクリームソーダに溶ける前に。 ①(長編予定)

          UFOを見たって話

          「ねぇ、お母さん。私、昨日の夜ね、部屋の窓からUFOを見たの。」 「あら、素敵ね!」 今年24歳になる、私の一人娘。 小さい頃から、誕生日にねだるものは、お人形や服やアクセサリーではなく、宇宙の本とか、望遠鏡とかそういったものだった。 母親の私が言うのも何だけど、娘はとても綺麗だ。見かけに気を使うような子ではないから、長い黒髪を雑に纏めたもの、化粧なんて全くしないし、服装だっていつもジーンズにTシャツ。しかもTシャツはどこで買ったのかしらないけどダサい文字が大きく書い

          UFOを見たって話

          地球のあなたへ

          こんにちは 此方は惑星ノベル 今日は学校で小型通信機を作りました。 他の友達は隣の惑星の友達や家族と対話するための通信機を作っていました。 僕はふと、僕たちの先祖が住んでいたという「チキュウ」と通信してみたいと思ってこの通信機を作りました。 もしかしたら、実在なんてしないかもしれないです。 絵本に出てくるお伽話かもしれないです。 地球には青い空と海が広がって、緑の草木が溢れている。そう絵本には書かれていました。人間以外の動物も沢山いると。 そんな夢見たいな惑星がある

          ホットケーキ香る朝

          「ねぇねぇ、明日は駅前に新しくできたカフェにパンケーキを食べに行こうよ!」  ぼくの彼女は、何というかリスみたいなんだ。くりくりした目をキラキラに輝かせて、大きなペンギンのぬいぐるみを抱きながら下からぼくを覗く。 「もう、聞いてるの?」  彼女の表情はコロコロ変わってみてて飽きない。特に今みたいに頬を膨らませて拗ねる様子はやっぱりリスみたいだ、リスに似ている。あ、そうそう足も速い。 「ちゃんと朝起きられたらね」 子どもみたいな彼女に返す。 「やったー!早く寝なきゃ

          ホットケーキ香る朝

          あなた1人が聴いてくれたらもうそれでいい

          思い返せば長い長い片思いでした。 どうしようもない、遠い憧れにも似たような恋でした。 明日あなたは結婚する。 知ってはいるだろうけどわたしは器用な人間じゃない。 人と付き合うのが上手くはないのだ。 わたしの人生において、友人と呼べる人をあげたならばとても少ない。そんな数少ない友人とさえ、たまに隙間を感じてしまう。 無理をしてしまう。 相手に合わせてしまう。 聞いているようなフリ、わかったようなフリ、どこかのドラマで見たような慰め。 わたしはそうしたもので構成されている

          あなた1人が聴いてくれたらもうそれでいい

          欲張りになる0時

          人はよく深い生き物だからね、 どんどん欲張りになってしまうんだよ。 通りすがりのそこの貴方、今から少し難しい話を始めよう。とある2人が出会ったとする。片方が恋に落ちるんだ、そういう話をしよう。 まず恋に落ちたら何をすると思う?知ることから始めるんだ。相手は一体どういう人なのか、どんな世界で育ってどんな人に囲まれて、一体どういう恋をして育ってきたのか。好きな映画は、音楽は、好みのタイプは。相手を知ることから始まるだろう、大抵。 その後は、そうだなぁ、その人の世界に入ること

          とあるプロポーズ

          心はふんわり乙女のまま、20代最後の日。記念すべき最後を飾るのは、マッチングアプリで知り合ったかれこれ2年の付き合いになる貴方。 私ね、学生の頃に猛アタックされて、10年ほどお付き合いした彼がいた。間違いなく彼の目には私しか映ってなんかいなかったし、凄く真面目で優しくて、本当に誠実で、顔も悪くない素敵な人だったの。好みのタイプではなかったけれども「私を愛している」それが十分な理由だったわ。後は押しに負けたのよ、私。 とても素敵な9年間。私の我が儘はなんでも聞いてくれたし、

          100%の女の子

          悲しい話だと思いませんか ◇ 君はさぁ、出会った時からよく僕に、 「あなたは私の運命の人だと思うの。ほら、何もかもがこんなにぴったり!こんなに素敵なことってある?」 子どもみたいな目を、丸くキラキラビー玉みたいにさせて映画のヒロイン顔負けな台詞を吐く。 僕もさながらどっかの映画の冴えない主人公。特段かっこいい訳でも、頭がいい訳でもない。将来性もカリスマ性も持っていない。それでも自分が選ばれた特別な人間なんじゃないかと、心の奥深くで思い描く。小さな映画館で上映されるよ

          クラムボン

          愛だとか、恋だとか。 月が落ちる真夜中にあなたは窓辺でタバコを蒸している。白い煙がプカプカと。私はそれを目で追いかけて、 「クラムボンみたいだね」 本を読んだりしないあなたに知ったかぶって呟いた。 素敵な誰かと恋に落ちたり、自分の夢を叶えたり、そんなことは誰でもできるんだって信じて疑わなかった小学生の私。 24歳の私が告げる。夢は叶わなかったよ。でも、なんとか毎日生きていけてはいるからね。王子様もいなかったよ。でも、こんな月が綺麗な夜に一人ぼっちでなんかいないからね