欲張りになる0時


人はよく深い生き物だからね、
どんどん欲張りになってしまうんだよ。

通りすがりのそこの貴方、今から少し難しい話を始めよう。とある2人が出会ったとする。片方が恋に落ちるんだ、そういう話をしよう。

まず恋に落ちたら何をすると思う?知ることから始めるんだ。相手は一体どういう人なのか、どんな世界で育ってどんな人に囲まれて、一体どういう恋をして育ってきたのか。好きな映画は、音楽は、好みのタイプは。相手を知ることから始まるだろう、大抵。

その後は、そうだなぁ、その人の世界に入ることだ。相手を知ってさらに深いと思ったら、その時に向こうの世界に飛び込む。そうして相手と「繋がる」のさ。

お互いの世界が交わることで、交友関係というものはスタートする。交友関係に必要なのは「好意」だね。好きでも嫌いでも、面白そうでも何でもいいんだ。相手に対して無関心であればその先には進まない。お互いがお互いに興味を持つことによって、関係に深みが生まれていくんだ。

恋人というのは、様々な形があるだろう。だからあくまで一例として聞いてほしいんだが、相手を自分のものにしたい、自分の近くにいてほしい、そばにいたい、この人の好意を独り占めしたい、そんな気持ちで恋人になるんだろう。

愛とは不思議なものだから、通じ合うときはこの世の幸せが全て自分に降りたような気持ちになる。すれ違えば憎しみにまで変わってしまう。

通じ合った2人は、更に相手の特別になりたいと願うんだ。特別とは?そうだなぁ、それは人によって様々だから。言葉にしなくても自分のことをわかってほしいとか、これくらい許して欲しいとか、自分の汚いところを理解してほしいとか、とにかく欲が出るんだ。

手に入れれば入れるほど、喉が乾く。それが愛なんだろう。お腹いっぱいで入らない、ただ少しでも消化されてしまったなら足りないと感じてしまうものなんだろう。ただそれが尽きたら?今まで与えられていたものが尽きてしまったら、半分の量になってしまったら、きっと満足はできなくなってしまうだろう。腹八分目でも満足できればいいんだ、でもそういう人だけでもないだろう。

人は罪深い生き物だからね。底がないんだ。

どんどん欲張りになってしまう。そして自分が与えた愛を、返してほしいなんて思ってしまうんだ。求められたわけでもないのに。

無性で与えられるものが「愛」なんだと、愛を語るうちは僕もアナタも気付けないんだろう、残念な話だけれどもね。



お腹いっぱいにはんぺんが食べたいのでお願いします。