クラムボン



愛だとか、恋だとか。


月が落ちる真夜中にあなたは窓辺でタバコを蒸している。白い煙がプカプカと。私はそれを目で追いかけて、

「クラムボンみたいだね」

本を読んだりしないあなたに知ったかぶって呟いた。


素敵な誰かと恋に落ちたり、自分の夢を叶えたり、そんなことは誰でもできるんだって信じて疑わなかった小学生の私。

24歳の私が告げる。夢は叶わなかったよ。でも、なんとか毎日生きていけてはいるからね。王子様もいなかったよ。でも、こんな月が綺麗な夜に一人ぼっちでなんかいないからね、大丈夫。

世界が終わってしまってもいいって思えるくらい悲しい日が3年に一度くらいのペースでやってくるけども、それでもお腹は減るし、白いご飯は美味しい。

ここから飛んでしまおうかなんて悲観する日も大人になるほどやってくるけども、それでも後一歩は踏み出せないままだし、生きていたいなってしゃがみ込む。

愛だとか、恋だとか、夢だとか、希望。もっていないわけじゃない。ただ宝箱にしまったままで、鍵を無くしてしまったの。

クラムボンの正体は、なんだったかなぁ、

あなたはきっと答えを見つけていたんでしょうね。



お腹いっぱいにはんぺんが食べたいのでお願いします。