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意志あるお金を増やすこと。新卒監査法人に入社した僕が、タイモブでCFOをやっているわけ

はじめましての方も、そうでない方も、こんにちは。

タイガーモブのCFOをしております、上原です。

実はちょっと前に、「CFO通信」という社内報を書いていました。月1で偉そうなことを書く企画で、全然続かなかったのですが、タイモブでnoteを始めるにあたり復活させたい!と思ったので、これから定期的に書いていきます。

まず、上原の経歴について

トモヤさん

CFOの上原って誰?という人にむけて、簡単に経歴を紹介します。

・大学3年生の時に年末年始インド合宿に参加したことがきっかけで、代表菊地と出会う
・大学4年生の時に、会計士の立場からタイガーモブ設立を手伝う
・新卒でPwCに入社し、第3金融部で1年半勤務
・PwC退社、2018年1月にタイモブジョイン
・創業4年目ベンチャーの会計士として日々奮闘中(いまここ)

こんな経歴なので、よく「なんでタイガーモブにジョインしたの?」と言われます。

せっかく2年勉強して公認会計士の資格をとって、監査法人にも入ったのに、端から見たら半ば捨てる感じで1年半で抜け出して、意味わからん、みたいな。

入った理由はすみません、実は当時はあまり深く考えていなくて、「なんとなく面白そうだから」以上のことはないのです(笑)

ただ、2年近くたった今、タイガーモブという場に身を置いている意味が形になってきたので、それについて書いてみようと思います。

「お金ってなんだろう?」から偏りに気づくまで

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経済学部だったこと、会計士の勉強を始めたこともあって、お金に興味がありました。大学で学んだ経済学はいまいち頭に入らなかったけど、「お金」そのものを学問している時間が長かったので、自然と興味の対象になっていました。

お金というのは、こんなにも日常的に使っているにもかかわらず、これに価値を感じる理由や、自分の使ったお金がどこに流れていくのか、全然見えない。自分の持っている1000円札にGPSを付けて、どこに流れていくのか見てみたいなあ、川の流れを地図にプロットするかのように、世界中のお金の流れが動画で見えるようになったら面白そうだなあと妄想していました。

そんな感じでお金に興味があったので、大学時代はマルクス経済学のゼミに入りました。
当時2014年くらいは、「マル経は終わった学問」だなんて言われていたけど、段々と資本主義そのものに世の中が限界を感じ始めた頃でした。
「資本主義そのものについて考える、その先を考える」ということは、まさにマルクスがやってきたことだったので、専門的なことは分からないけどその変化の空気感だけは感じることができました。
そして4年生の時にピケティの『21世紀の資本』がゼミの輪読本になったころ、ゼミが面倒になったのとタイガーモブの立ち上げで忙しくて途中でドロップアウトしました(笑)

ただ、この輪読がきっかけで、貧困・格差・富の偏在というのが気になり始めました。

調べてみると、お金の在る場所には偏りがあることが分かりました。

格差とは偏りです。格差があるというのは、一方の極にお金が集中している状態です。ふと自分自身について考えてみると、 日常で自分が使っているお金が流れ着いている先が、偏っていることが気になっていました。

■"What is the fifth biggest island in the world ?"

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最近、タイモブの研修プログラムの運営で、電子国家で有名なエストニアに行きました。その時、ヨーロッパで著名なデザイン事務所velvetさんを訪問。見出しのクエスチョンは、そこでのプレゼンでの問いかけです。 

世界で5番目に大きな島はなに?

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正解は「ごみ」です。

世界中から流出したプラスチックごみは、カリフォルニアとハワイの間に滞留しており、その海域が「太平洋ごみベルト」と呼ばれています。めちゃくちゃでかくて、もはや島レベル。

※調べたら太平洋ごみベルトの大きさは160万キロ平方メートルで、5番どころか世界で2番目のニューギニア島80万キロ平方メートルより大きい。日本の面積の4倍以上にもなります。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34360420Q8A820C1CR8000/

velvetさんのプレゼンでは「モノづくりに関わる者として、ごみを生み出している側として、こうした社会問題を、デザインの力で解決していく責任がある」と言っていました。

デザインをするときには、再利用したり廃棄物ができるだけでないようにしたりすることを重要視するといいます。

エストニアの首都タリンでは、飛行場の跡地を再利用して、国立博物館を建設したり、昔使われていた列車の車両を店舗として再利用したり、そういう様子がたくさん見受けられました。

エストニアのデザインについてはこちら。
https://www.elle.com/jp/decor/decor-interior-design/g29706688/estonia-design-19-1116/

社会は人間や環境にとって、いつも都合よくできているわけではありません。

時代に合わせてデザインし直す必要があります。
お金の流れもしかりです。時代に合わせて、お金の流れもデザインする必要があるのです。 

お金を使うことは、社会への意思表示

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ファンドマネージャーの藤野さんが書かれた、『投資家がお金について考えること』という本があります。

投資を未来のためにお金を使うことだとすれば、おにぎりを買うような日々の消費も、その後ろに価値の連鎖が続いていて、未来の社会を形作っています。

まさに消費という日常の行動を通じて、私たちは社会に対して意思表示をしているのです。

人々が、消費する、投資する、お金を預ける、通貨を使う。

お金に関わるあらゆる行動が、経済合理的なものではなく、ちょっとだけでいいから、社会のこと、環境のこと、未来の持続性のことも考えるようなものになること。その輪がもっと広がること。

これができたら、社会を変えられる気がしています。

お金を受け取る側で考えること

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じゃあ、自分にどんなことができるのでしょうか。

いま働いているタイガーモブという会社は、海外インターンシップ事業を運営しています。そこでCFOとして、お金を管理しています。これまでの話になぞらえると、タイガーモブという会社を通してどんなふうにお金が流れていくかを見ています。

海外インターンシップというのは、留学と同じように、それなりにお金と時間をかけないと参加できません。

参加してくれる人はみな、自分の目標をかなえる機会として、自分を変えるきっかけとしてサービスを使ってくれます。

そういう方々からお金を受け取るとき、あるいはその方々のためにお金を使うとき、いつも重みを感じます。

ぼくらに払う10万円、それ以外にもフライト代や宿泊費がかかる。そうホイホイと意思決定できるものではないし、一生に一度かもしれない。

金額の大きさ以上に、ここに至るまでのストーリー、背景、それを想像する時に、こういう使い方をされるお金に関わって仕事ができているのは幸せだなあと思うのです。

大量の情報が流れてくるいまの時代において、人々の興味関心は拡散しています。一つ一つの意思決定に時間もお金もかけていられません。日々の買い物でいちいち考えている暇なんてないし、そんなことしたら疲れてしまう。わざわざ家で水筒に水を入れるよりも、通勤途中に自販機でさっとペットボトルを買います。面倒だから、それが当たり前。

そんな世の中だからこそ、自分たちから仕掛けていかないといけない。サステイナブルな社会を実現するために、たとえば、それがイケてるんだと訴えていく必要があると思うのです。

やっていることに共感をして、この企業の製品の買ってよかったな、このNPOに寄付したら社会が変わりそうだな…そういうイケてるお金の使い方をして、消費が消費で終わらない世界をつくりたい

誇り・幸福・未来への投資になるような商品やサービスを生み出せる組織体が増えるように、あるいはそういうお金の使い方を引き出せるように、社会と組織をデザインすることをしたいです。

こういう意志あるお金の流れが増えたら、世の中が変わりそうだなと思っていて、その流れの中に関わっている状態が、今すごく楽しいです。

タイガーモブのミッションとビジョンについて

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そんな感じで今楽しくタイガーモブで働いているわけですが、いい会社だなと思うことはいろいろあります。その一つは「カオスに真摯に向き合う」ことだと思います。

ビジネスをすること、仕事をすることの目的は、組織それぞれだと思います。それがミッションなりビジョンに表れます。

タイガーモブのミッションは、「次世代リーダーの創出」です。

世界の課題や、自分がこれだと思う分野の当事者になる方を増やすために、次の時代を担う方々に実践機会を提供すること。その実現に向けて、海外インターンシップ事業を行っています。

この事業は蓋を開けてみるといろんな変数があります。
受入先は世界36か国に散らばっているし、参加者本人と受け入れ企業だけでなく、その家族や所属する組織(大学や起業)などステークホルダーは多い。インターンシップにおいては当事者性が大事なので、弊社からあえて手はかけすぎず自分の力で成長してもらいたい。そうした上で、事業性を考えないといけません。その他にも、安心安全な挑戦環境を提供する、関わる全ての方に価値を届ける、教えず育てる、ミッションと利益の両立、いろんな矛盾と戦っています。

タイガーモブでは、よくインターン生に、カオスを愛せるようになれ、と伝えますが、実はタイガーモブ自体がまさにカオスなんです。

ビジネスをする上で矛盾を抱えているのは、タイガーモブだけではありません。お金儲けと社会性はいつだって矛盾だらけなのです。

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そんな中多くの人は、自分の信念やミッションを諦めて選択肢を切り捨てたり、複雑さを嫌ってシンプルにしたりしがちです。ビジネスをする上では、それも大事であることもわかっているつもりです。でも、それじゃあ本当の意味でミッションは達成できない。

そういう、端から見ると「AかBか」の選択に晒されているような状況で、「AもBも」「(AでもBでもない)ウルトラC」をひねり出すために、粘り強く議論を重ねていける強さが、いまのタイガーモブチームにはあると思っています。

全員がミッションに共感できていて、提供できている価値のすばらしさに正しく自信を持てています。

常に「これって、タイモブらしい?自分たちがやりたいこと?」と、自身に問いかけることができています。手前味噌であれなのですが、そういう姿勢で仕事ができているタイガーモブはいいなあと思うわけです。

ぼくはそんなタイガーモブが好きです。

自分が関わっていきたい、支援していきたいと思う組織の一つの形が、生成されて成長していくそのプロセスに自分自身が関われていることが、とても幸せだなあと思っています。

おわりに

お金とは?というwhatを考えていたら、いつのまにかそれを通じてどう社会を変えられるかというhowに切り替わっていたのは、きっと仕事を通じて誰かに貢献することが楽しくなってきたからなのだと思います。

そして、お金の巡りをデザインすることと、組織のデザインのデザインをすることが、自分の中では結び付いています。いまはようやく一歩を踏み出しただけ。世界が広すぎて死にそうです。

描いたビジョンはより大きくより鮮明にしていきたいし、いまいる現実ではより実力を伸ばしていきたい。自分の実力がついていく度に描くビジョンも大きくなって、常に現実が未来を追いかけるイタチごっこの中を楽しんで生きていきながら、社会を変えることができたら本望です。

こんな感じでがんばっているので、これからもよろしくお願いいたします。

タイガーモブ ロゴ



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