他人や自分の気持ちの波との付き合い方。大切な人の"気の沈み"との向き合い方。
これまでの人生で鬱と何度も向き合ってきた。
自分は本格的になったことはないと自覚しているが、周りの大切な人が何人もなっている。
この数ヶ月、鬱を中心に、自分や他者の気持ちや捉え方と相当向き合ったので文章にも書き起こしてみる。
※実体験での試行錯誤を重ねながら数十冊に及ぶ読書、体験談サイトの閲覧、周りの人に聞き込んで心情理解を進めるなど、本当にたくさんのことを現在進行形でしている。
また、自分は鬱の捉え方を完全に理解したとは思っていないが、かなり苦しい思いをしながらも理解は進んでいる自負はあるので、自分の思考整理も含めて書き記す。
※補足
パートナーが鬱になっているときの前提で述べていることが多数となっているが、鬱症状のみならず一般的に当てはまる話も多いと思う。
①他者の気持ちの変化を正しく理解する難しさ
そもそも人は他者の気持ちの波を穏やかに受け入れ続けることが難しい
難しさのポイントは2つある。
①-1, 当事者と周りの人で捉え方にはどうしても違いが出やすい
そもそも人の気持ちには波があるもので、自分で認識している気持ちの変化と他者が認識するその人の気持ちの変化は異なることがある。
例えば、本人にとっては些細な気持ちの沈みだから放っておいて欲しいことも、他者から見ると大きな気持ちの沈みに見えて放っておけないことがある。逆も然りで、他者から見たときに気づかないところで本人の気が深く沈んでいることもある。
この差異はどこまでも完ぺきに理解することはできないから、お互いに思いやり続けることが必要。また、頭で分かったうえでも気になってしまうことはお互いたくさんあるので、気になり過ぎずに冷静になること、メタ認知することが重要になってくる。
また、沈んでいる本人が自分の本当の気持ちに気づいていない、あるいはそこから目を背けている場合はコミュニケーションが更に難関となるので注意が必要。双方で少しずつ認識をすり合わせる必要がある。
※相手の気持ちと自分の気持ちの差異について理解を深めるにあたって、細谷功さんの本がおすすめ
①-2, どのようなときに気持ちが沈むかは人によって結構違う
人によって生きる上でどういうときに強い思いを感じるかが異なる。
自分と異なるタイプの人の心情を理解するのは難しい。
特に大きな差が出やすいのは、外交的であるか内向的であるか、性別の違いなどで、自分と違う属性の人が日々どのようなことを感じてどのように生きているかを聞くと驚きがたくさんある。
なんとなく違いを頭で理解できた後でも、個々人の違いが大きすぎて感覚的にも理解するのはかなり難しい。色々な人の考え方を聞いて照らし合わせながら他者理解を進めることをお勧めする。
下記の「ザメンタルモデル」という本は、4つのタイプに人間を分類していて、自分と違うタイプの人間が日々どういうことを考える傾向にあって、どういうことに対して強い感情を抱くかを知ることができて勉強になる。
例えば、自分は「A.価値なしタイプ」に共感するが、他のタイプの人の感じ方は新鮮なことが多かった。そして、周りの別のタイプの人の感じ方ってそういうことだったのか、と腑に落ちることができた。
②自分の気持ちの整理の仕方
②-1,ものごとの捉え方を変える
自分の心の整理をつける、物事の捉え方を変えて自分の気持ちの振れ幅を減らす上で、加藤諦三さんの本がおすすめ
そもそも人はどのようなときに孤独や不安を感じるのか、なぜ人は孤独や不安を感じるのか、を心理学の観点から説明してくれている。
先天的な傾向に加えて、幼少期の家庭環境やどのような愛情に囲まれて生きてきたかが個人の不安の感じやすさに影響しやすいというのは面白い。
そして、誰しもが完璧な愛情を受けて育ったわけではなく、それぞれ不安を受けやすいポイントが異なる点も興味深い。
あとは、「嫌われる勇気」も鉄板で読んだことある人も多いかもしれないが、読み返すと学びは多い。
②-2, 自分の辛さも長い目で見たら大したことないものだと思う
これは1番辛いときには考えてはいけないのと、他人に強要してしまうのは絶対だめ。ただ、自分が力を振り絞りたいときなどには励みになる。
数週間、数ヶ月はとても辛くても、そこを乗り越えて振り返ったときにあっという間だったと思える。
例えば、あのプロジェクトは3カ月間相当大変だった。体調を崩して半年間休職していた。このように後から振り返るとそんなに長く感じないが、当時の自分からすると永遠で相当深い苦しみに感じることはたくさんある。
”今”に囚われ過ぎずに、長い時間軸で物事を考える。
これは実行するのはとても難しいが、生きる上では大事なことであると感じる。
②-3, もっと大変な思いをしている人からしたら自分の苦しみなんて大したことない
これも1番辛いときには考えてはいけないのと、他人に強要してしまうのは絶対だめ。ただ、自分が力を振り絞りたいときなどには励みになる。
戦争、災害、病気、交通事故、身近な人の死など、とても大変な思いをしている人が世の中にはたくさんいる。そういうことを考えると今の自分の苦しみが少しでもちっぽけに思えたり、もっと小さな幸せを見いだせることもたくさんあるはず。
③鬱と向き合うこと特有の難しさ
もう少し”鬱”に踏み込んで、鬱と向き合うこと特有の難しさについても少しまとめようと思う。
③-1, 相手に出やすい特徴
まず、鬱は脳が疲弊した状態になるので、何かを考えることや行動することが困難になる。
また、パートナーが鬱になると、気持ちの余裕がなくなって恋愛感情がなくなることが多い。
一緒に住んでいない場合は、会えないし電話もできなくなるゆえに状況がわからなくて余計に不安になる
下記の記事などで挙げられている特徴は、
「感情がなくなる」「体調が悪くなる」「人に連絡できなくなる」だ。
頭ではわかっていても、不安にはなるので要注意。
何度も何度もうつ病の特徴に関する本や記事を読んで、特徴を理解しようと頑張っている。
本人や周りの人の体験談も何度も読むと良い。
この状態は病気によるもので、いま不安になり過ぎる必要がないことを感覚的にも理解しやすくなる。
特に良かった記事は下記に記載。
③-2, 実際にどのように”気が沈んでいる大切な人"と向き合うべきか
これは色んな本、サイトを読めばわかるが、
・無理に励まそうとしない
・心配をし過ぎない
この辺は鉄則だ。
個人的に重要だなと思うことは、
・自分の言葉が相手にとってどういう言葉になるかを考える
・見返りを求めずに愛情や想いを伝え続ける※後述
自分が発する言葉を相手がどのように受け取るか、これは予想できない受け取り方をされてしまうこともあるので要注意。
例えば、調子どう?元気ない?という言葉は、純粋に心配ゆえの言葉だとしても、受け取る側からしたら落ち込む原因にもなり得る。
繰り返しにはなるが、鬱になった人、大切な人が鬱になった人の体験談は何度も読むと良い。何度も読む中で理解ができるというのと、目の前にいる大切な人がどのように感じていそうかと何度も照合することによってよりきちんと理解できるようになる。
また、理解したうえでも不安になってしまうことは多々あるが、そうしたときに体験談を読むと、同じように感じている人やもっと深刻な人の話を知れて少し不安が和らいだりもする。
自分自身が鬱になりやすくもなったりするので要注意。周りの人に適切に頼ることも考えると良い。
鬱の人との接し方について、特に良かった記事は下記参照
④自分の愛情との向き合い方
相手の気持ちを一定理解できるようになり、自分の気持ちが不安定になりづらくなった上で、
次に直面しやすいのは愛情について。
鬱の相手からは愛情を受け取れないことも多い。
自分の気持ちが暗くなることもどうしても0にはしづらい中で、自分の言動に自信がなくなったり、本当にこの人と一緒にいるべきなのか不安になったりすることもある。
そうしたときに、自分の”愛情”とどのように向き合うと良いかを最後に少し残す。
④-1, 自己肯定感を上げる
まず自分のことを愛することができないと、人のことを愛することはできない。
相手は相手自身のことを愛することができなくなっているので、自分のことを愛するのは今は難しい。
せめて、自分は自己肯定感を上げて、自分自身をきちんと愛することが必要だ。
自分が自己肯定感が低いと気持ちが沈んで余裕もなくなり、相手と共倒れをしたり、衝突をしたり、拒絶されたりなど負のスパイラルが回りやすくなる。
自分の自己肯定感を上げたうえで、相手には見返りを求めずに愛情を伝える。
慣れるまでは不安だが、ここを乗り越えられるかどうかで関係性は大きく変わってくると思う。
人を正しく愛するためにも、まずは自分自身を愛するためにも「愛するということ」という本はおすすめ。
④-2, 全てを知ろうとしない、相手の愛せるところを見る
B'zの「イチブトゼンブ」という曲にあるフレーズ
全て知ろうとするべきではない。
愛しぬけるポイントがひとつあれば良い。
これはすごく自分に印象深い言葉だった。
相手の好きなところ、最高なところは何か。元気だったときにその人が自分にとって唯一無二だったことは何か。その人が自分に渡してくれた愛情は何か。
他のことは些細なことと考えて、自分の気持ちに自信を持てるようになる。
最後に
とにかく、悪い方に考え過ぎない。
まずは自分の人生の土台を立て直して、1人できちんと歩けるようにする。
その上で、周りの人にも愛情やエネルギーを注ぐ。
すぐに解決できることではなく、人生を通して考え続ける必要があるテーマも多いと思う。
試行錯誤を重ねながら日々成長していき、周りの人に良いエネルギーを渡せる人でありたい。
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