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対等【not enough】

 私の担当アイドル、七草にちかの物語。シーズ4つ目のシナリオイベントついて、私の考えと想いをここに記す。 日々を彩るもの にちかは今日も生きていた。  亡き父と入院中の母の代わりに、姉と共に家事に励み家計も支えている。それにより半ば義務的に培われた調理のスキル――相手の好きな物、健康に良いもの、喜びそうなものに思いを馳せ、料理として分かち合うことは、以前より彼女にとっての親愛の証でもあった。  だからここまでの決して短くない期間の中で変化があったのは、美琴の方かもしれない

    • 肯定【七草にちかLandingPoint/緋田美琴LandingPoint】

       私の担当アイドル、七草にちかの物語。そして彼女の関わるシーズ2人のLandingPointシナリオについて、私の考えと想いをここに記す。 ビールケースのステージの先で ワンマンライブ――それはシーズのための、シーズのファンしか訪れないステージ。シャニPは2人がそんな機会を大切にできるよう、思案を巡らせていた。  これまで長らく美琴は、完璧なパフォーマンスこそが人々を魅了し感動させる唯一無二の手段であると考えていた。しかしシナリオイベント【セヴン#ス】での八雲なみのトリビ

      • シャニマス5周年振り返りPVに想いを寄せる

         先日行われた『シャニマス』5thライブ“If I_wings.”  そのDay2で流れたシャニマス5周年振り返りPVに、5年間の重みが押し寄せて涙した者も少なくないだろう。  そしてライブ翌日、そのPVがアイマスチャンネルにアップロードされた。配信アーカイブで見納めだと思っていた自分はとても歓喜し、ここで筆を執るに至った次第である。  この素晴らしいPVが多くの人の目に触れることへの感謝を込めて。 はじめに 5thライブには、その一カ月ほど前に開催されたアイマス合同ライ

        • 自分【セヴン#ス】

           私の担当アイドル、七草にちかの物語。シーズ3つ目のシナリオイベントついて、私の考えと想いをここに記す。 音楽はとまらない 新旧の相方、不意の邂逅、準レギュラーの同枠――その他様々な要因により、にちかとルカは互いを意識してフラストレーションを募らせていた。  どんなに仕事をこなそうと脳裏には相手の影が過る。それでもにちかは進み続けていた。常に必死でいることで、不安な気持ちを塗りつぶしながらここまで来たのだ。  にちかはG.R.A.D.を経て、あるいはそこまでの長い道のり

        対等【not enough】

        マガジン

        • シーズの軌跡
          7本

        記事

          人生【七草にちかG.R.A.D./緋田美琴G.R.A.D.】

           私の担当アイドル、七草にちかの物語。そして彼女の関わるシーズ2人のG.R.A.D.シナリオについて、私の考えと想いをここに記す。 休養という選択 シナリオイベント【モノラル・ダイアローグス】を経て、にちかと美琴にはそれぞれの時間が流れていた。  シーズでないときのにちかは、亡き父と入院中の母を持つという境遇で、姉と共に家を支えるヤングケアラー。家事に追われ、家計の節約を惜しまず、年齢不相応に心身を削っている。  そしてシャニPは七草家に触れる機会がおのずと増えていき、

          人生【七草にちかG.R.A.D./緋田美琴G.R.A.D.】

          対話【モノラル・ダイアローグス】

           私の担当アイドル、七草にちかの物語。シーズ2つ目のシナリオイベントについて、私の考えと想いをここに記す。 不協和 結成から長い月日を経ても、しかし2人の関係は相変わらずであった。自分のバラドルたる売れ方に不純を感じ、理想から遠のきながらも、にちかは仕事をこなし続ける。  感謝祭のラストに吐露したにちかの本音。場の雰囲気でイジられたり笑われたり、そういったキャラクターによる愛され方はアイドルとして相応しくない、ステージの上のパフォーマンスこそアイドルにとっての本分であると

          対話【モノラル・ダイアローグス】

          Pデスクの背景越しに思い出を振り返る

           先日、Pデスクというシャニマスコミュ勢垂涎の機能が実装された。その中の『アイドル』タブに映る背景から、追憶に浸ることにする。 様々なコミュからの引用があり、ネタバレも多分に含まれるためご注意ください。また、モデルにされたと思われるスポットとシナリオ内で想定される位置関係が一致するもののみ、現実の地名を記載しています。 はじめに Pデスクでは写真のようなアイコンが並び、全員が違うスポットを背景としている。(例外で真乃と霧子、摩美々とあさひは同じ場所だが、時間帯が違っている

          Pデスクの背景越しに思い出を振り返る

          協和【SHHisファン感謝祭】

           私の担当アイドル、七草にちかの物語。シーズ感謝祭のプロデュースシナリオについて、私の考えと想いをここに記す。 みんなの妹、七草にちか にちかはアイドルとして開花していた。  美琴を置き去りにして。  多忙なスケジュールに追われるにちか。シーズとしてではなく、七草にちかとしてレギュラー番組を持っていることが判明する。お笑いとの棘のあるやりとりは「恒例」と評されるほどに番組の目玉コンテンツになっていることが示唆され、笑い声のSEも頻繁に挟まる。  にちかが愛されているのは

          協和【SHHisファン感謝祭】

          大好きなシャニマスの世界~自分を見つめるということ~

           シャニマスの世界は人は究極的には理解し合えないものとして描いていると、私は感じている。  これはすなわち、自分を理解できるのは自分だけである、という意味だろうか。いや、これも恐らく正確ではないだろう。  自身のアイデンティティを無理やり言語化しても、自分を納得させることはできない。自分のことを見つめるという行為は、時として他人を理解することよりも更に難しく、そして答えが無い。  そして自分を知った先で、自分らしい生き方が社会で受け入れられ、自分の個性から生まれる可能性で

          大好きなシャニマスの世界~自分を見つめるということ~

          これからシャニマスに触れる人がコミュを読むにあたって

           2021年、運営から「ゲーム実況ポリシー」なるものが公開された。  また、2023年は合同ライブも豊富であった。  これらを機に、シャニマスに触れる人が増えると嬉しい。そういった未来のシャニマスファンに向けて、コミュの読み方に対するヒントを記したい。(コミュ=シナリオのこと)  というのも、シャニマスは様々なアプローチから多角的にアイドルを描こうとしているのだが、それが原因でコミュの順序が入り乱れて理解が追いつき辛い構造になっている部分がある。その読解に、この記事が少しで

          これからシャニマスに触れる人がコミュを読むにあたって

          大好きなシャニマスの世界~社会ひいてはアイドル業界で生きるということ~

           ファンタジーとリアリティの狭間に、シャニマスの魅力が詰まっている。その舞台となるのがアイドル業界、そして現代社会である。  アイドルがステージで輝いている裏で、夢の無い現実の社会に時に苛まれ、時に守られて、少女たちは生きている。彼女たちは本来、モラトリアムの最中にあるべき年齢で、しかし大人の社会に組み込まれてしまっている。  そんな世界でアイドルを生業にすることの過酷さと尊さを描き、果てはアイドルでいることが幸せなのか、本当に大切なものは何なのか、シャニマスは問いかけ続

          大好きなシャニマスの世界~社会ひいてはアイドル業界で生きるということ~

          相方【OO-ct. ──ノー・カラット】

           七草にちかPとしてシャニマスと向き合うことを決め早3ヵ月弱。シーズ初のシナリオイベントについて、私の考えと想いをここに記す。 当記事内には【OO-ct. ──ノー・カラット】はもちろん、SSRなどのネタバレも多分に含まれるためご注意ください。最新のpSSR【ヴぇりべりいかシたサマー】七草にちかのtrue以外までのネタバレも含みます。 にちかの目指していたアイドル像 路傍で調子よく歓談する無名芸人コンビに対し、にちかは辛辣な言葉をつぶやく。しかしバイトの先輩にはこの苛

          相方【OO-ct. ──ノー・カラット】

          大好きなシャニマスの世界~人を理解するということ~

           アイドルマスターは何をするゲームだろうか。  恋愛ゲームだとか音ゲーだとか、そんな側面が無いわけではない。シミュレーションゲームだとか育成ゲームと言われれば、本質に近づいているような気がする。しかし私は、アイマスはコミュニケーションのゲームだと思っている。  アイマスではストーリーのことをコミュ、すなわちコミュニケーションと呼んでいる。基本的にはアイドルとプレイヤーとのコミュニケーションだ。そのゴールは究極の相互理解。  疑似恋愛ゲームの側面のあるアイマスにおいて、この

          大好きなシャニマスの世界~人を理解するということ~

          七草にちか、最高に可愛い私の担当アイドル

          「七草にちか」の魅力について叫びたい。  先日私は、私が追ってきた歴代のアイマスからにちかに出会い、担当プロデューサーになるまでを書いてきた。しかしその過程は、私のプロデュース人生の自戒や償いのような形と取られかねない、独りよがりな内容であったと反省している。  しかし、にちかを選んだ理由はそうではない。  私にとってにちかが魅力的に見えた理由がちゃんとあり、それを文字に起こさねばならない。  だから本稿では、私の思うにちかの魅力を叫ばせてくれ。 『アイドル』であるこ

          七草にちか、最高に可愛い私の担当アイドル

          浅いプロデュースを10年続けていた私が、今さら筆を執った訳(後編)

           これはもう話なんて整ったものではない。私を悩ませる数多の要素を濾して、一番奥に眠っていたそれを引っ張り出すための作業でしかない。 アイマスが辿ってきたもの アイドルマスターは時代に合わせて進化してきた。 (ここからのアイマス史はある程度下調べもしたが、私見も含まれている。アニマスから入ってCS版シリーズには触れていない浅学な人間の講釈だと、温かい目で見て欲しい)  アイマスの歴史は、2005年にアーケード版が稼働を開始したところから始まる。しかし企画そのものは2001年

          浅いプロデュースを10年続けていた私が、今さら筆を執った訳(後編)

          浅いプロデュースを10年続けていた私が、今さら筆を執った訳(中編)

           前編で5000字綴っても、SHHisどころかシャニマスにすら触れられていない。しかし、そこに至るまでの下地部分は説明できたはずだ。  長文駄文で面目ないが、今回もお付き合いいただければ幸いだ。  ただ、前提として先に述べたい。  この中編ではアイマスのコンテンツとしてシャニマスを上げ、他を下げていると受け取れるような表現になってしまう部分があるかもしれない。しかし決して、他シリーズを腐す意図はない。依然として未央や志保は私の担当アイドルであり続ける。しかしながら、私個人に

          浅いプロデュースを10年続けていた私が、今さら筆を執った訳(中編)