【書評】自由と偶然への祝福『喜べ、幸いなる魂よ』佐藤亜紀著
十八世紀、ベルギー。親が死に、亜麻糸商のファン・デール家に引き取られたヤンは、男女の双子と共に育てられることとなった。人付き合いはいいがどこか人生を諦観している少年テオと、並外れた天才で変わり者の少女ヤネケ。ある日、農園で兎の交尾をみていたヤンは、一緒にいたヤネケに、〈出来るか?〉と訊かれる。ヤネケの好奇心に付き合うように、ヤンはヤネケと交わり、いつしかヤネケはヤンの子を身籠もる。ヤンはヤネケと所帯を持つことを望むが、ヤネケは子どもを産むだけ産むと、生涯独身の女たちが住む「ベ