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アンティーク家具との出会い

家を建てる事が決まってから
自分達の未来の姿を
たくさん想像するようになった。

10年、20年、30年、40年後…と
2人で、どんな暮らしをしていたいのか
どんな生き方をしたいのか
たくさん考えるようになった。

互いの、老いや死についても
たくさん話し合うようになった。

私達夫婦にとって一緒に食事をする事や
共に過ごす時間や空間は、とても大切。

時を重ねる事を味わい愛でられる
アンティークの家具が、
我が家にあったらいいね。と、
まずは、一番重要なダイニングチェアと
テーブルを選ぶ事から始まりました。

実際に調べて探してみると、
沖縄の離島という場所柄、送料が高くついてしまったり、配送できる家具の大きさに限度があったりと、欲しくても手に入れられないものが多く、いっぱい悩みました。

量販店で売られているものを選べば、
それなりに見た目も機能性も良く、送料も
そこまで高額にならずに購入できるけれど、
私達にとって、それでは面白みが無い。

共に時を重ね、死ぬまでお付き合いできる
椅子とテーブルが欲しい。と、
夫は夫で、私は私で「これだ!」と思う椅子を探し、それに合わせるアンティークの
ドローリーフテーブルも購入しました。

私が選んだ赤茶色の椅子は
届いた時、塗装もムラだらけでバネも沈み
座面の布も色褪せていて、
使える状態ではありませんでした。

椅子の修理なんてやった事がないけれど、
自分で直せたら、
それはとても価値のある事。

失敗したっていい。
とにかく、やってみよう!と、
初めてアンティーク家具の修理をする事に
なりました。

まず始めに、打たれている釘を全て抜いて
どういう構造になっているのか確認。

中に藁がいっぱい詰まっていました。

そして、塗装の剥離作業。

思ったより、しっかり塗られていて
落とすのに、かなり根気が必要。
ゴシゴシッ!ゴシゴシッ!と、
ひたすら木目に沿って擦りました。

4日間かけて、ようやく剥離終了。
無垢の状態に戻りました。

腕が筋肉痛です…。

ここから、丁寧にヤスリがけ。
木目が徐々に濃く浮き上がってきます。

夫が選んだ緑色の椅子は
座面など問題なく、綺麗な状態だったけれど、塗装部分が、だいぶ薄くなっていたので
一度剥離をしてから、私の椅子と同じ色に
塗装する事になりました。

剥離後の無垢の状態も可愛いですね。


ここから塗装作業です。
ムラができないよう2回に分けて
慎重に塗ります。暫く乾燥させてから
ニスを薄く薄く、ここも、かなり慎重に
塗ってゆきます。

理想の色に仕上がりました。

屈みっぱなしの作業で腰が痛いです…。

そして次は、バネを結び直し座面に固定。
沈み過ぎないようバンドを引っ張りながら
押さえます。
ここは、結構な力がいる為
夫に手伝ってもらいました。

そしてクッション部分の作業。
バネの上にウレタンのクッションを敷いて
座ってみたのですが、何だかスカスカして
心もとない感じ。

そういえば、
ソファーの修理をする動画を観ていた際
バネの所にウレタンを詰めていた事を
思い出し、中に詰められるだけ
詰めてみました。

そしてこの上にウレタンクッションを敷いて座ってみたら、何と、抜群の座り心地!

YouTubeで修理の動画を観る事も大事だなぁと思いました。

ゴールは間近!
もうひと頑張り!!
と、気合いを入れて最終作業へ。

赤レンガ色のベロア生地をクッションの上に被せて座面に固定。

そして最後は、縁取りのテープを施し
アンティーク調の鋲を留める作業です。

木が硬くて、鋲が真っ直ぐ入らず、
難しいよぉーっ!と、数時間格闘。

夫に手伝ってもらいながら何とか
鋲留めが出来ました。

作業を始めてから約2週間
遂に遂に完成しましたー!!

見違える程の可愛い姿に、感無量です!

夫の椅子も綺麗に仕上がっていました。


初めてのアンティーク家具の修理は
分からない事だらけで
1人で上手くできるのか不安だったけれど
身体中がヘトヘトになったけれど
理想としていた姿に変身させる事が
出来ました。

芸能人や有名な人が紹介していたものでも
人気の作家さんのものでも
流行りのものでも無い。

世界でたったひとつの椅子に出会えた。

誰かが、いいと言ったから選ぶのではなく、
自分が「好き」と思ったもの
心が動いたものを
これからも選んでゆきたい。

そしてそれを
自らの手でメンテナンスをしながら
大切に使ってゆきたい。


と、改めて思いました。

いつの時代、どこの国で、どんな人が
この椅子に座ってきたのだろう。

どんな家族が、このテーブルで食事をしていたのだろう。

そんな事を考えるだけで、ワクワクする。

はるばる海を超え
我が家に来てくれて、ありがとう。

おじいさん、おばあさんになっても
ずっと使い続けてゆく、私達の宝物です。


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