【連載小説】俺様人生 vol.7「痛み」
それからもアスカは、理由をつけては泊まりに来た。
ハニタンの家に行ってから俺の家に来たりしていた。
ガソリン代を想像すると恐ろしい。
ハニタンには何も言われないのかと聞くと、
「別に〜いってらっしゃいとは言われるけど」
一体どういうカップルなんだよ!
俺もアスカに呼び出されて街まで行くことが増えてきた。
正直金がない。
食費をギリギリまで抑えるために、俺は『ゆかり』ふりかけを購入。
毎日ゆかりご飯だけを食べ続ける。
更に足りなくなった食費のために、砂糖のみの食事となる。
そんな毎日の中で迎えた誕生日。
アスカに言われて街まで出てきた俺は、誕生日プレゼントをゲットした!
「開けてみていい?」
「どうぞ〜♪」
開けてみると、セーターが入っていた。
「これ、高いんじゃないの?」
「えっへっへ〜奮発しちゃった」
そう笑うアスカに幸せな気分になる。
今くらいは普通にカップルと思っていいかな……
ところが、途中から、やたら腹が痛い。
壊れているわけでもなさそうなんだが、ズンズンと痛みが増してくる。
あまりに痛くなりすぎてきたので、アスカに今日はもう帰る、と告げると、アスカは膨れっ面になる。
いや、俺だってもっと一緒にいたいんだよ、だけどさ、どーにもならないってこと、あるやん?!
仕方ないので運転できるうちにアパートへ帰る。
膨れっ面のアスカもなかなか可愛いな……
この時の俺にはまだそう考える余力はあった。
しかし、痛みはどんどん増してくる。
俺はロフトベッドの上で一人、痛みに耐えていた。
最初はメールなどをしていたが、徐々にそれも出来なくなった。
アスカが心配してメールをどんどん送ってくる。
『もうあんまりメールできる気力がないかも』
とメールすると、
『私が迎えに行きたいけど、さすがにこの時間になると出れなくて……』
『いいよ、気にせず寝てくれ』
『あんまり痛いならタクシーで病院いきなさいね?携帯と充電器は必ず持っていくこと』
アスカから具体的な指示が出た。
俺は痛みが限界に達しそうなので、急いでタクシーを呼んだ。
山の中だから時間がかかる。
必死で耐える俺。
痛い……俺は死ぬの?こんなところで、一人で死ぬの?
そう思った頃、タクシーは到着した。
俺は這いずるようにして二階から一階に降り、タクシーに乗った。
とりあえず一番近い病院へ車を回してもらう。
ラッキー、夜間受付してる!
タクシーの運ちゃんが荷物などを丁寧に運んでくれ、無事ゴールインだった。
しかし、俺の症状は一向に改善しない。
痛み止めの点滴も効かない。
医者が
「ボルタレンを打ちますよ、少し楽になりますよ」
と言って、点滴に注射をまぜてきたが、一向によくならず。
かえって痛みが増した気すらする。
そのまま二時間くらい、処置室ですごす俺。
悲しすぎる……今日は誕生日なんだぜ?
こんな目にあっていいの?
痛みと痛みの隙間で、俺は考える。
食べ物も特に食べていないし(砂糖だけだし)感染するような場所にはいってないし……
医者も首をかしげる。
結局俺はそのまま入院となる。
痛みながらも、
『病院ついたおやすみ』
これだけはメールしておいた。
俺は痛みと共に誕生日を終えたのである。
次の日の朝方には痛みはずいぶん引いていて、睡眠も無事にとれた。
ただ、何が原因か特定するために数日入院する必要があると告げらる。
確かに昨日の痛みは尋常じゃなかった。
俺は卒倒できるならしたいくらいの痛みを味わった。
アスカに言われた通り、充電器を持って来たのは正解だった。
アスカが休憩時間などにメールしてきたからだ。
また、家族に連絡を入れるのにも使用したからだ。
検査入院とは暇で、携帯がなければ退屈するところだった。
俺は素直にアスカに感謝するのだった。
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