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【連載小説】ガンズグロウ vol.28「成人式」

成人式がやって来た。


私は地元で成人式を迎える。

「きゃー、さやかっち、久しぶりー」

「まおっち、全然かわってなーい!!」

「さやかちゃん、お久しぶり!」

「まゆちゃん、その着物いいねえ!」

「えへへ、美容室のスクエアの着物なんだー。さやかちゃんのもかわいい!」

私はピンク地に大きなガーベラを描いた着物だ。

今日はメイクもしてもらってバッチリ!

タツキが見たら何て言うかな?

『さやかちゃん、かわいい!惚れ直したよ』

とか言われちゃったりして、照れるー!!


一人妄想しながら式典を迎えた。


お偉いさんのお話は超退屈で、朝早くから着付けをしてもらっている私は眠気MAXだった。

横にいる女の子も眠そう。

そりゃそうだ。

ヘアセット、着付け、化粧と段階を踏むため、女子初朝6時起きだったりする。6時に着付けしてもらう子は5時起きだ。

眠くならないはずはない。


大親友の まお とは大学が別々になり、メールのやり取りはしているものの、会うのは久しぶりだった。

まおの着物は黒地にボタンの花を散らした、大人っぽい着物だ。

まおも眠そうに祝辞を聞いていた。


場面が一転して、ライブが始まる。

なんだか聞いたこともないようなアーティスト。

歌はそこそこうまかったけど、あまり盛り上がらなかった。


そして高校生による太鼓の演舞が始まる。

最初は大したもんだとみていたが、だんだんその音とリズムに眠たくなってくる。


あまりの眠さに、式典の途中からは寝てしまっていた。



式典終了後、みんなで写真を撮りまくる。

男子も混ざって大盛り上がり。

「変顔撮ろうぜ!」

今年初の変顔をする。

あとで写真みて後悔するんだろうなとか思ってみたり。


プリを撮りに行こうという話が出た。

「私の彼氏も一緒でいい?」

「ひゅーお熱いのね!」

からかわれながらもタツキを待つ。



タツキは父親の車を借りて迎えに来た。

「ちょっとちょっと、マジ信じらんない、さやかの彼氏って、あのイケメン?」

「えへへ、そうでーす」

思い切り自慢。

「彼氏にこっちにおいでよって誘ってみなよー」

まおが言うので連れてきた。

「まじイケメンだしー!!」

男子群が

「俺らは???」

と聞いてくる。

「「ブサメーン」」

答えがハモる。

やっぱり中学時代、気が知れている仲間といると、嬉しい。

タツキは?と見ていると、テンポについていけず苦笑している。



そのあとは着物のまま、みんなでプリを撮りに行った。

人数が多くてはみ出したりして、超楽しかった。

タツキとももちろん撮りましたよ。

私の携帯の待ち受けにするのだ!!


そのあとは流れでカラオケに。

タツキの車に乗れるだけ乗って、あとの面子はタクシーだ。

ついてからみんなで割り勘にしたので、タクシーの運ちゃんはかなりめんどくさそうだった。


タツキはニコニコしていた。

だからタツキも喜んでくれてると、私は思っていた。


カラオケでは大ハッスル!

アニソンから演歌までいっちゃう。

タツキはアニソンを歌っていた。


まおが、

「あんたの彼氏、アニソンしか歌わないの、オタクなの?」

とこっそり聞いてきた。

「あぁね、ちょっとね」


だんだん調子に乗ってきたタツキは、初音ミクやら鏡音リン・レンの曲を入れだした。

みんなお酒が入ってたから盛り上がってたけど、素面だったら……と思ったら怖くなった。


だって、タツキは素面だもん。

盛り上がる方向が若干ずれてますよ、って感じ。


それでも迎えに来てくれたのは嬉しいし、タツキに着物姿を見せれたのはよかったし、万事OKだと思っていた。



しかし、タツキは疲れきっていた。

「若い子のテンションにはさすがについていけないわ……」

とタツキは言うのだった。

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