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【連載小説】ガンズグロウ vol.19「ガンズ初試合」

乾杯すると、すぐにせせらぎはパソコンへ向かった。


「これが今の俺のステ」

といいながら、所持している武器なども見せてくれた。


ログアウトすると、

「教えるから、さやかちゃんログインしてみて」

と言う。

早速デスクを借りるとログインした。

「お、ずいぶん頑張ってるじゃん!」

「……ありがとうございます!」

自分のキャラが誉められて嬉しくない人はいないだろう。


そこから、紙に書いて説明を開始する。

「フォーメーションはこんな感じ。これだと防御組が先に攻撃をうけるだろう?その隙を狙って、俺らが前に出て攻撃」

「敵がこういうフォーメーションで来た場合は、こっちから、こう、出る。OK?」

「はい!」

丁寧でわかりやすく教えてもらい、邪気を感じたのは気のせいだったのね、と思うようになっていた。


一通り戦術を教えてもらったあとは、個人スキルだ。

ショートカットキーを教えてもらいながら、これ、確かタツキに借りた本にもあったなぁ、とうっすら思い出していた。

あのときは何がなんだかわかっていなかったから……

こうして実地で教えてもらえるとずいぶんわかりやすい。


最後にゆらぎご希望の写メを送ってアパートを後にした。

せせらぎが駅まで送ってくれた。

「当日から、勝ち抜くぞ!」

「おうっ!」

駅でハイタッチをしながら気合いをいれると、私たちは帰った。



試合当日。

私は飲み物も準備して臨戦態勢だ。

開始のゴングが鳴る。

第一戦は余裕勝ちした。


調子をこいた第二戦目はちょっとヤバかったけど、なんとか勝ち。


第三戦は、フォーメーションを言われた通りに意識して勝った。


ここで15分の休憩が与えられた。

私はトイレを済ませながら、

今日のこれはいける!

とガッツポーズを決めた。


試合は9チームとする勝ち抜き戦。

3チーム抜くごとに休憩が15分与えられる。


残り、あと6チーム……

ズシッとくるのはプレッシャーか。


第四戦

かなりの攻防戦になった。

スタミナギリギリのところでゆらぎが放った一発で勝利が決まった。

『ゆらぎ、やるじゃん!』

『私はやるときはやる男です』

いつものゆらぎらしいセリフだ。


第五戦

楽勝だった。

相手チームはバラバラで、統率がとれていない感じだ。

うちもこうならないように気を付けよう。


第六戦

フォーメーションアタックで勝利。


第七戦

相手のミスにより自爆、勝利。


意外と簡単に勝利の座が見えてきた。


第八戦

さすがに攻防戦。

相手もフォーメーションを組んで、隙がなかなかない。

先手必勝とばかりにタツキが放った一発から勝負は始まった。

必死に攻撃に耐えて楯になるみなも。

その後ろから、司令塔目掛けて大きいのを一発!

うまいこと決まって、勝利!!!



あと一回で優勝……

私は生唾を飲み込んだ。


第九戦

これが一番しんどい試合だった。

お互い様子見でなかなか手が出せない。

せせらぎが、

『いっちょ、やったるわー!』

と先制攻撃。

とたんに狙い打ちされる。

フォローに回るタツキ。

一瞬防御が薄くなった、その瞬間に集中攻撃をうけ、みなもがピットインしてしまった。

こうなると、人数が少ない私たちのチームはすかすかになり、ぼっこぼこにやられてしまった。



結果……

第二位で賞金を一人20000ガンズ、それぞれに防具と武器が与えられた。

『悔しかったね!』

とゆらぎは言う。

『頑張れたじゃない?』

とタツキ。

『まだ試合したりない!』

とみなも。

『俺の作戦が甘すぎた、すまない』

とせせらぎは言った。

『でも、少数精鋭、これだけの人数でよく健闘したよ!』

とわたしが言うと、みんなその場でジュースを乾杯した。

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