少年の目的は一体?
下りの早歩きは足を挫くことを考えてしまう。石畳に足を取られないように気をつけながら、たまには飛んだり小走りになりながら少年の後を追う。少し先にはキオスクが見える。赤い看板はコカコーラものだ。コカコーラはどこにでもあるなあ。聖地だろうと所構わず。少年が小走りになりその目の前のキオスクに入る。わたしも後を追う。こんなわたしにも多少の警戒心というものが実はあり、ガイド代を請求されないかなと一抹の不安が心をよぎる。間もなくわたしもこのキオスクに入るとアラブ人の店主と水滴のついたペットボトルのミネラルウォーターを2本手に持った少年が談笑している。アラブ語なので全く理解ができない。もしかしたら、カモが来たと言われているかもしれないし、ただ今日も暑いねと話しているだけかもしれない。
マルハバ
不安を吹き飛ばすかのように満面の笑みで挨拶をする。
少年がぶっきらぼうに片方のペットボトルの水を突き出してくる。
わたし・何?
少年・水
わたし・うん。それで?
少年・暑いだろ?水飲まないと脱水するよ。ほら。
わたし・ありがとう。
ただそれだけだった。ちょっとでも疑ってしまってごめんなさい。心の中で謝る。日本人で、というか外国人でこの状況を全く疑わない人がいようか?きっとわたしだけではないはず、と言い訳を心の中でつぶやきながらカラカラの体に冷えた水がごくごく入っていく。一気にペットボトルの半分を飲み干し、暑さでしぼみかけていた心と体が少年の気遣いと冷たい水で張りが出てくる。
少年・仕事に戻るから。ガイドが欲しかったら言って、200ドルで案内するから。じゃあね。
そういってどこかに言ってしまった。
あっけなかった。
キオスクの店主に挨拶をしてわたしも店を後にし、ただただ歩くことにした。
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