イブラヒムモスク

人でごったがいした新しいスークを抜け、オールドシティに向かって歩く。急に埃っぽく喉がイガイガとしてくる。心なしかアラブ人たちの商魂もより一層逞しい気がしてならない。お土産用のマグネット、ブレスレット、洋服、石鹸、オイル、スパイス、ありとあらゆるものを売りつけてくる。それに遮られ普通に歩けば数分のところを10分以上取られるのだ。

空を見上げると、網が何重にも施されている。屋根がではなく網。石やゴミ、片方だけの靴までが網にかかっている。以前は第二の経済都市だったヘブロン。

一体なに?この網は?靴とか石とか。

入植者が嫌がらせをするんだ。経済活動できないように。さあ、先へ急ごう。モスクが閉まってしまうかもしれない。

このスークはイブラヒムモスクにつながっている。薄暗いスークを抜けると急に空が広がり暑さも増し、太陽の光が目に痛い。目の前にはモスクがある。スークではほとんど見かけなかったイスラエル兵があちこちにいる。観光客よりも多い。数の割に笑顔で談笑しその数にここがパレスチナ自治区であることを忘れてしまいそうになる。聖地であるこのモスクは同じ建物の中でムスリム側とユダヤ側に分かれている。それだけ各人が渇望している場所であることが容易に想像できる。チェックポイントを通過しムスリム側より中に入る。外観はまさにアラブの幾何学模様のタイル、中もその絨毯の美しさ、やや色あせた緑色の壁、天井の左右対称を成す模様、アラビア語のカリグラフィーは疑い用もなくイスラームの世界だ。簡易的な壁を挟んでユダヤのシナゴークとなるこの建物の中、ある種の緊張感が漂いつつも真剣に純粋に祈りを捧げる姿は本当に美しい。

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