ベツレヘムの住宅地にて

世界遺産の地、ベツレヘムも生誕教会とその周辺以外は至って普通の場所だ。人々が日々の生活をする場。住宅地があり、小さなスーパーマーケット、お惣菜屋、小さなモスク、そして瓦礫の山。

とにかく歩いてみることにする。飾られていないベツレヘムを感じてみようじゃないか。

あてもなく歩くのは本当に疲れるので終点を決める。それに向かって寄り道しながら迷子になりながら歩いていくことにしよう。わたしは宿からいつもなら左、生誕教会やバスターミナルの大通りに向かうところを右に向い坂を下っていくことにした。いつもとは違う方向ではあるが右の上の方、高台にはモスクが見える。きっと見守ってくれるという思いとあれは目印になるという思い、そんなところから歩く方向を決めた。坂を下る、カーブの多いこと。たまに通る車にはファミリーカーもあればダンプカーが砂埃を立ててわたしの横をすり抜けることもある。

民家が連なる一角に地元の人しか来ないであろうファラフェル屋を発見した。揚げているお兄さんは年の頃なら23、4といったところだろうか。生誕教会付近とは打って変わって4個1シェーケルという表示がある。

ハロー。

ハイ!元気?何してるんだい?ファラフェル好き?1つ味見したらいいよ。

そういってこのお兄さんはわたしに1つファラフェルをくれた。

ガイドブックで絶賛されている生誕教会の近くにある某ファラフェル屋とは比べ物にならないくらいさっくりしてジューシーでこのお兄さんの笑顔がファラフェルの味ににじみ出ている。美味しい!

すごく美味しい!ファラフェル大好きなの。嬉しい。2シェーケル、8個ちょうだい!

ははは、本当に美味しそうに食べるね。OK、じゃあ揚げたてをあげるからちょっと待ってて。

そういってファラフェルの種を素早く混ぜ特殊な小道具を使って綺麗な丸を成形し油に落とすのだった。

ねえ、わたしファラフェル大好きだから作り方知りたい。教えてよ!それとも企業秘密?

秘密なんてないさ、今日はもう作らないから明日の朝おいで。作るところにいたらいいよ。

やったあ!嬉しい!写真も動画も撮っていい?

そう言うと、彼は笑顔でいいよ、と答えてくれた。

さあ、揚がったよ。多めに入れといたから。熱いから気をつけてね。

ありがとう。

紙袋に入ったファラフェルを受け取るとおまけがついて15個も入っていて一人で食べきれるのか不安にもなったが帰り道に摘みながら翌日のファラフェル修行を思っているとあっという間に15個を平らげていた。

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