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私は私、あなたはあなた

「他人と過去は変えられない」ということは、頭では分かってはいるものの、悩みが尽きないのが人間関係です。

もしあなたが次のようなことで生きづらさを感じているなら、何かヒントになるかもしれません。

  • 反射的に人の期待に応えるような言動をしてしまう

  • 人が自分の期待に応えないことにイライラする、または落ちこむ

例えば、本来の自分の気持ちに蓋をして、人の期待に沿った言動をしていると、その瞬間は二人の関係性を保てたり、雰囲気が悪くなることを避けられたとしても、後々「本当はこう思っていたのに(言えなかった)」「人の顔色ばかりを気にする自分のことが好きになれない」と、モヤモヤした気持ちを抱えてしまいます。
また、「自分のことを分かってくれない、察してくれない」「こうすることが普通だと思うのに、相手はなぜそうしないのか」と、自分の期待に応えてくれない人に対して、イライラしたり落ち込んだりと気持ちが穏やかでいられません。
このようなことで悩んでいるときというのは、自分と相手の間にある「境界線」をしかり認識できておらず、曖昧になっている可能性があります。


「ゲシュタルトの祈り」を唱えてみよう

そんな時は、人間関係の境界線を取り戻す、魔法のおまじない「ゲシュタルトの祈り」を口に出して唱えてみてください。
「ゲシュタルトの祈り」は、ドイツ人の精神分析医であるフレデリック・パールズ創設した「ゲシュタルト療法」の中で使われる祈りです。

「わたしはわたしの人生を生き、あなたはあなたの人生を生きる。
わたしはあなたの期待にこたえるために生きているのではないし、あなたもわたしの期待にこたえるために生きているのではない。
私は私。あなたはあなた。
もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。
しかし出会えないのであれば、それも仕方のないことだ」

(原文)
I do my thing, and you do your thing. I am not in this world to live up to your expectations, And you are not in this world to live up to mine. You are you, and I am I, and if by the chance we find each other, it’s beautiful. If not, it can’t be helped.

フレデリック・S・パールズ(ドイツの精神科医)
「ゲシュタルトの祈り」


読んでみて、どのような気持ちになりましたか?
「私は私として、生きて良いのだ」「私が私の人生の主人公になる」という、一番基本で大切な生き方を選択する後押しをしてくれている、そんな気持ちになりませんか?

と同時に、相手が自分の期待に応えてくれないのは、自分が理想を押し付けていただけで、相手には相手の考え・価値観が、自分にあるのと同じように存在していることも教えてくれています。

自分も自分を大切にするから、相手がその人自身を大切にすることも理解する。これが、人間関係の境界線をしっかり認識するということなのです。


最後の一文に込められた救い

「しかし出会えないのであれば、それも仕方のないことだ」

「出会えないことは悪いこと」であるとか、「必ず私とあなたは出会える」とも述べていません。「出会えなくても、仕方がないのだ」との一文に、きと息苦しさを抱える多くの人が救われたのではないでしょうか。

人間関係において、分かり合えるということは理想的ではありますが、あれこれ手を尽くしても分かり合えない人というのも必ず存在します。そんな相手と、「良い人間関係を築かなければならない」「仲良くしなければならない」と思うと、そうでない今の状態がとても辛く息苦しく感じてしまいます。
「仕方がない、そう、それは仕方がないこと」と思うことで、力んでいた拳をそっと緩め、握りしめていたものを手放すきっかけになるのではないでしょうか。

人間関係で悩んだ時は、是非「ゲシュタルトの祈り」をおまじないのように、口に出して何度か唱えてみてください。


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