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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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#現在完了形

【英文法の小径】現在完了形の要点 Ver.1.0

形式I/you/we/they   have worked = I’ve/you’ve/we’ve/they’ve worked he/she/it   has worked = he’s/she’s/it’s worked I/you/we/they   haven’t worked he/she/it   hasn’t worked have   I/you/we/they   worked? has   he/she/it   worked? 用法以下のことについ

【英文法の小径】現在形〈時制〉その十

I hear John’s getting married.今度、ジョンが結婚するという話を伝えている。話し手は、ジョン本人あるいは友人から聞いて知ったのだろう。だとしたら、’I hear’ という〈現在形〉ではなくて、’I heard’ と〈過去形〉にしなくてもよいのだろうか。 ここでの I hear のように、聞いたり読んだり見たりして得た、新しい情報=ニュースを導入する表現では〈現在形〉を用いることがあります。実際に人から話を聞いたのは過去に起こったことでも、その結果

【英文法の小径】過去形〈時制〉その二

I saw Lin last week.'I' につづく 'saw' は see の〈過去形〉。動詞の〈過去形〉はもちろん、過去の事柄を表すのに用いますが、このとき話し手は、過去の特定の時点あるいは期間を心に描いています。冒頭の文では、それが 'last week' という表現で示されていますが、状況や文脈から、それと分かるときには、省かれます。 DId you sleep well? この文で話し手が 'last night' を頭に置いていることは容易に推測できますね。

【英文法の小径】過去形〈時制〉その三

Did you ever ride a horse?乗馬の経験をたずねている。ever を伴って現在までの経験について述べるとき、動詞の形は〈現在完了形〉になるのではなかったか? 英文法には、アメリカ英語とイギリス英語のちがいという問題があります。冒頭の文について言えば、次のようなちがいです。 イギリス英語ならふつう、〈現在完了形〉を用いるような文脈で、アメリカ英語では〈過去形〉(または〈現在完了形〉)を用いる。 なので、冒頭の文は、次の文とおよそ同じ意味を表すと説明さ

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その一

I’ve had lunch.例えば、友人からランチの誘いがあったときの返事。ランチを食べたのが30分前だとしよう。もちろん、人によっては、まだお腹が空いている(あるいは、もうお腹が空いた)ということがあるのかもしれないけれど、たいていの人のお腹は満たされていることだろう。それゆえ、友人からの誘いを断ることになる。 このように、過去に起こったことについて述べる場合でも、その影響が今でも残っていること、言い換えれば、現在におけるその結果を暗に伝えたいのであれば、〈現在完了形〉

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その二

I’ve made a cake. Would you like a piece?'I've made' と〈現在完了形〉が使われている。例えば、パウンドケーキが焼き上がったのは3日前のこと。どうして ’I made a cake’ と〈過去形〉ではないのだろう。 今、つまりこの話をしている時点で、手作りケーキをカットしたピースがおそらく目の前にあって、話し手はそれを勧めている。 Look what Andy has given me!'Andy has given'

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その三

Look! Somebody has spilled something on the carpet. カーペットの上の染みを発見した話し手が、そのことを最新の情報として、つまりニュースとして相手に伝えている。誰かが何かをこぼしたのは過去のことであっても、今目の前にある結果に関心があるので〈現在完了形〉を用いている。前回までの説明(現在完了形・その一、現在完了形・その二)にしたがうと、このようになります。 これはまた、次のように説明することもできるでしょう。 起こってか

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その四

The director has made more than 50 films.この映画監督は現在、まだ現役なのか、それともすでに引退しているのか。 ‘has made’ と〈現在完了形〉が使われている。この述語動詞の形が指し示すのは、過去のある時から現在までという幅のある時間。冒頭の文の場合、彼の映画監督としてのキャリアが始まってから今までということ。そして、この期間に彼が監督を務めた映画の数は50本を超えると言っている。つまり、監督としてのキャリアはまだ終わっていない

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その五

a) Emma has gone to Italy. b) Emma has been to Italy.どちらもエマの休暇に関する文。果たして彼女は今、どこにいるのか。 gone を用いた a)の文では、エマは現在、イタリアにいるか、そこへ向かう途中である。いずれにしても、家を留守にしている。彼女は旅行中なのだ。 一方、人がある場所へ行って戻ってきている、つまり、その場所への訪問が終わっている場合は、b)の文のように、過去分詞 gone の代わりに been を使います

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その六

Have you ever eaten insects? Haven’t we met before?‘have you … eaten’ ‘haven’t we met’ とあって、どちらも〈現在完了形〉の疑問文。過去のことを述べるのに〈現在完了形〉を用いるとき、話し手の頭にあるのは、過去の特定の時点や時期ではなく、過去から現在まで広がる時間。そして、その期間内に起こったこと、あるいは起こらなかったことについて述べるのだ。 なので、〈現在完了形〉と一緒に使う表現は、現在ま

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その七

I haven’t seen John this morning.この文は、一体いつの時点での発言だろうか。 一日のうちの決まった時間帯を指す ‘this morning’ という表現―前回(現在完了形・その六)出てきた ‘ever, before, already, yet’ に比べるとはっきりした時間を示す表現―が、’haven’t seen’ という形、〈現在完了形〉と共に使われている。 〈現在完了形〉は、過去から現在まで広がる時間の中で、起きたことや、その間続いて

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その八

We know each other very well. 〈現在形〉を用いた文(現在形・その五)。二人がいつ知り合ったのかは分からないが、そのとき以来ずっと知り合いで、今でも知り合いと言える間柄なのだ。 それでは、知り合ってどれくらいになるのかを述べたいとき、動詞の形はどうしたらいいのだろう。 We’ve known each other since childhood.過去に始まった現在の状況がどれくらいの間続いているのかを述べるには、'We've known' のよ

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その九

We’ve lived in Portland for ten years.‘We've lived’ と〈現在完了形〉が ‘for ten years’ という期間を示す表現と共に使われている。この ‘for ten years’ が、今=話をしている時点を含んでいる、言い換えれば、10年前から現在までの間を表す場合は、冒頭の文のように〈現在完了形〉を用います。話し手は、今でもポートランドに住んでいる。 We lived in Portland for ten years

【英文法の小径】現在完了形〈時制〉その十

I did a lot of work yesterday. They arrived ten minutes ago. I went to bed early last night. 繰り返しになるけれど、〈現在完了形〉は過去のある時から現在まで広がる時間の中で起きたことや、その間続いていることを述べるのに用います。このときに重要なのは、話し手の考えている期間が今、つまり話をしている時点を含んでいること。その意味で、〈現在完了形〉とは、過去のことを現在とのつながりにおいて