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性と土俗の蒐集家・九十九豊勝と『土の香』の加賀紫水

 先日、以下の記事で性に関する土俗を中心に蒐集をしていた九十九豊勝について紹介したが、九十九は『土の香』を発行していた加賀紫水の功績を記念して発行された楳垣実編『加賀紫水翁記念誌』(蝸牛工房、1951年)に「紫水翁の手」(筆名は九十九黄人)という文章を投稿している。なお、この記念誌については、拙noteでも紹介したことがある。

この文章によれば、九十九は加賀の自宅を3、4回訪問したことがあるという。加賀の自宅は愛知県の当時の起町という結構な田舎にあったため、そこに何度か足を運んでいることから九十九と加賀は深い交流があったことがわかる。

 九十九は『土の香』にも何度か投稿しているが、私が確認できた範囲では、九十九がこの雑誌に投稿していたのは以下の文章である。

琉球土俗行脚 九十九豊勝 第6巻第5号、1932年5月
交信欄 九十九豊勝 復刊第1巻第2号、1945年10月
琉球回顧 九十九黄人 復刊第1巻第3号、1947年3月
趣味を語りし諸外国人の友を回想す 九十九黄人 加賀紫水編『百人一趣』上巻、土俗趣味社、1946年
花籠(四) 九十九黄人 加賀紫水編『百人一趣』下巻、土俗趣味社、1946年

投稿数は少ないかもしれないが、戦後も継続して投稿している点が興味深い。九十九は戦後に『土の香』が復刊した後も引き続きこの雑誌の読者、投稿者であったようである。『土の香』復刊第1巻第3号に載っている読者芳名にも九十九の名前が記載されている。

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