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『土の香』の加賀紫水はコレクションを売却した?

 拙noteで何度も取り上げている『土の香』を発行していた加賀紫水は以下の記事でも紹介したように、『土の香』の発行や民俗・方言研究と並行して様々なものの蒐集を行っていた。

これらのコレクションを何らかの理由で譲渡しようとしていたことは、以下の記事で紹介した調査趣味誌『深夜の調べ』第1号(2023年)に投稿した解題「民俗学実践の場『土の香』、その支援者・加賀紫水」でも言及している。加賀の出していた広告を武田修が発行していた趣味誌『京都寸葉』から引用する。

分譲 全国官国幣社印影、陸海特演行幸記葉逓信、知識全揃風特官白初日カバー他(『京都寸葉』78号、1941年10月)
実費分譲 官白、鳥瞰図、記念切手、其他今般都合で全部売却、お早く(『京都寸葉』88号、1942年8月)
至急譲度、官白沿図煙草、郵便切手誌、記葉、足袋票等一般、蒐集趣味誌熱望(『京都寸葉』97号、1943年5月)

 今回別件で清水蒐喜が発行していた趣味誌『伊勢蒐楽』を調べていた際に加賀の同じような広告を発見したので、以下に紹介してみたい。

全国駅弁足袋票数千種。鳥瞰図数百種燐票数千種分譲す希望条件詳細御照会歓迎ス 愛知県起町 加賀治雄(『伊勢蒐楽』第134号、昭和16年4月)
分譲郵便切手会誌義本、趣味品第三組開始どしどし照会を歓迎、安価に分譲
愛知県起町 加賀治雄(『伊勢蒐楽』第136号、昭和16年6月)
(筆者により現在仮名遣いに改めた。)

 加賀が広告を出している時期は『京都寸葉』で広告を出しているタイミングに近い。この広告で興味深いのは、加賀のコレクションの概要が伺えることである。足袋票(足袋のレッテル)の蒐集家としては以下の記事で紹介した福田江月が当時知られていたようだが、加賀もかなりの数の足袋票を蒐集していたようだ。

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