![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118466173/rectangle_large_type_2_c390c13a1f5f291253006cdb598cc3f0.jpg?width=1200)
橋川文三『歴史と体験 近代日本精神史覚書』についてのメモ②―連続する思想
以下の記事で紹介したように、橋川文三『歴史と体験 近代日本精神史覚書』(春秋社、1964年)を読み進めている。この中の「昭和十年代の思想」に1930年代の思想の変遷に関して興味深いことが指摘されているため、以下に紹介してみたい。
この文章の中では、1930年代のマルクス主義者の国家主義への転向が論じられているが、橋川によれば、マルクス主義は人々の内面の「自我の問題」が捨象されており、その課題は後に続く小林秀雄や保田與重郎に代表される日本浪漫派に引き継がれたという。特に保田は「ロマン的自我」を再建しようとして国学的思想を取り入れた。このように橋川が転向をマルクス主義から国家主義へ思想を変化させたという断絶でなく、連続的な変化として思想史の中で捉えているというのが興味深い。
よろしければサポートをよろしくお願いいたします。サポートは、研究や調査を進める際に必要な資料、書籍、論文の購入費用にさせていただきます。