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趣味誌『熊野趣味研究』第1巻第2号について―民俗学研究者・雑賀貞次郎も投稿

 以前、以下の記事で上中宗太郎が発行していた趣味誌『熊野趣味研究』第1巻第1号のことを紹介したが、今回はこの雑誌の第1巻第2号を紹介したい。以下に書誌情報を記載する。

雑誌名:熊野趣味研究 田邉附近名所旧蹟案内号
大きさ:約24.4cm×約14.5cm、洋装本、活版印刷 ※大きさは、私が閲覧した雑誌は合本になっていたので、第1巻第1号と同様と推測した。この号から活版印刷になった。
印刷:? ※合本の綴じられている部分に記載があったので分からなかった。
発行:大正15年7月25日
編集兼発行印刷人:上中宗太郎 和歌山県田辺町北新町
頁数:22頁

趣味 宕陽(鈴木融)
郷土漫記(一) 雑賀貞次郎
皇太子殿下山陽道行啓
紀念スタンプに就て 朝紅生(名和長嘉)
平和記念日附近使用局数に就て 朝紅生(名和長嘉)
変った蒐集 島田謳舟
新聞の沿革及びその蒐集について 伊藤善五郎
古書に見へたる田邉藩組の言行 雄禪
趣味誌見本広告に就て 朝紅生(名和長嘉)
所謂趣味道徳家 茂林閣
若い私の体験 名物票蒐集に就て 鷲見東一
ポスターの蒐集 老田宗太郎
発刊を祝して 菅生白峰
蒐集界ニュース
短歌 三浦おいろ
御寄贈新謝
謹謝
交換広告欄
蒐集界ニュース追加

興味深いのは南方熊楠と深い交流のあった雑賀貞次郎が投稿している点である。雑賀はどのような経緯で『熊野趣味研究』を知って投稿することになったのだろうか。

 他にも当時よく知られていた趣味人が投稿している。鷲見東一は拙noteでも何回も紹介しているが、当時郷土玩具、名物票を蒐集していた大阪の趣味人である。三浦おいろも同じく大阪の趣味人で娯美会のメンバーであった。菅生白峰は串間努編『旅と趣味』第6号(日曜研究者、2011年)の串間努「「B級郵便誌」というランクを駁す」によると、菅生は大阪の酒票蒐集家で『趣味の研究』を発行していた趣味人で、当時多くの趣味誌に掲載されていた「誌上入札」を初めて設けたという。

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