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加賀紫水が発行しようとした『百人百想』の行方

 民俗学雑誌『土の香』を発行していた加賀紫水は様々な書籍を発行したが、『百人百想』という書籍を計画していたことが『土の香』復刊第2巻第3号(1946年)に掲載されている発刊予告からわかる。以下にこの予告を引用してみたい。

『百人百想』(仮題名)
今度感ずる處があって今迄数千人の方々と御交誼を受けいろ〱ご指導を賜りました。思出に「百人百想」第一篇を編纂し皆様の机上に贈り度いと存じます。何卒後賛助御寄稿を受け百人となれば早速第一輯を発行します。
〇一人八百字居ない一頁一人発表のこと
〇随筆でも研究でも何でもよろしい
〇画絵スケッチ可(鉄筆でうつせるもの歓迎)
〇詩、歌、句、川柳、俚謡、筆蹟
△早きを切望折返し御寄稿を乞ふ百人で第一集刊行寄稿者に贈呈
△到着順に編輯す。(会員の皆様全部御賛同御寄稿を願います)
△第一輯は七月発行の予定(〆切六月中)
△記念特輯のよい題名ああれば知恵を拝借致度し
△何人でもよろしいご照介の上一人でも多くどし〱御寄稿を乞ふ

私が以下の記事で紹介した調査趣味誌『深夜の調べ』第1号に投稿した『土の香』総目次では、この書籍は出版されなかったとしたが、上記の広告の内容から考えると、同年に出版された『百人一趣』のことではないかと推測できる。

『百人一趣』には詩、短歌、随筆なども多く投稿されているので、『百人百想』は最終的に『百人一趣』と書名を変えて出版されたのではないだろうか。

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