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趣味人・伊藤喜久男の趣味誌『蒐集時代』創刊号(戦後発行)

 以下の記事で戦後に発行された趣味人・伊藤喜久男の趣味誌『蒐集時代』第2号を紹介したが、この雑誌の創刊号(第1号)も架蔵しているのを忘れていたのでこちらも紹介していきたい。第2号に民俗学研究者・本山桂川が投稿しているのを発見したため、第2号を先に紹介したかった次第である。

雑誌名:『蒐集時代』第1期第1号
大きさ:約12.9cm×約8.4cm、謄写版印刷、和装本
発行:昭和23年5月1日
発行印刷人:大庭宗太郎
編集発行人:伊藤喜久男
発行所:発行所:東京都大田区馬込町東二ノ一〇九九番地 電話大森四七三番振替東京一一八九四番大森郵便局私書函第十二号 蒐集時代社
頁数:40頁

蒐集時代創刊の言葉 伊藤喜久男
蒐集趣味談義 下村保太郎
遠刈田の人々(一) 川口貫一郎
「緑」の週間切手短評 島本正一 酒井利澄 安達正 左右田道雄 保田泰三
近頃の日本切手と外国切手 和田博
蒐集回顧(一) 木村喜久弥
記念乗車券目録(終戦後の新記録) 宮下武太郎
三月観劇日記 伊藤喜久男
編集雑記 志ん万(伊藤喜久男)
清規

表紙
目次。貼り込みあり。
奥付

創刊号にはこけし蒐集家・川口貫一郎、乗車券の蒐集家・宮下武太郎が投稿している。第2号と同様に戦前から活動している蒐集家、趣味人が雑誌の中心であったようだ。この雑誌の発行目的を確認するために、伊藤の「蒐集時代創刊の言葉」を以下に引用してみたい。

 慌しい渡世の道は所詮つくるところない野暮の骨董でなくては金儲は出来ないが、これでは余りに人生に潤ひなり味ひなりがなさすぎるので、私の趣味生活をそして私を支持して下さる人達の存在を百年の後にのこす意味から「蒐集時代」を創刊したが、これを育ててゆくのは正直なかなか大仕事である。この雑誌は読んで楽しむより寧ろ見て楽しむ雑誌として生長させれば読者各位の御声援を切にお願いする次第である。(一部を筆者により現代仮名遣いにあらためた。)

伊藤は自分と考えを共有している蒐集家たちの記録として『蒐集時代』を発行したと述べている。この雑誌は、戦後すぐの蒐集家の活動を記録した貴重な記録とも読めるだろう。

伊藤喜久男「蒐集時代創刊の言葉」

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