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徳富蘇峰の蔵書の中の民俗学・考古学関係者の書籍

 先日、神奈川県二宮町の徳富蘇峰記念館を訪問した。この記念館には徳富蘇峰の蔵書が本棚に並べて展示されており、蘇峰の蔵書を見学することができる。蘇峰の蔵書の中に民俗学、考古学関係者の書籍があるのかどうかが気になったので、今回調べてみた。本棚を眺めての調査及び記念館の図書検索システムでの検索のため、不完全であると思われるが、メモとしてここに残しておきたい。尾佐竹猛や今和次郎などは民俗学・考古学関係者かと言われると疑問だが、ここではご容赦いただきたい。(注1)

『日本古代史』久米邦武 早稲田大学出版部 1905
『南北朝時代史』久米邦武 早稲田大学出版部 1907
『日本古代史と神道との関係』久米邦武(述) 沖野岩三郎(著)警醒社書店 1909
『大和民族考』久米邦武(序) 福井永頼(著)警醒社書店 1910
『日本伝説集』高木敏雄 郷土研究社 1913
『東京帝国大学理科大学紀要 第36冊第6集』鳥居龍蔵 東京帝国大学 1914
『裏日本』久米邦武 公民同盟出版部 1915
『国史八面観』久米邦武 磯部甲陽堂 1915
『日本の民家』今和次郎 鈴木書店 1922
『人類学及人種学上より見たる北東亜細亜 西伯利、北満、樺太』鳥居龍蔵 岡書院 1924
『維新前後に於ける 立憲思想―帝国議会史前記―』尾佐竹猛 文化生活研究会 1925
『国際法より観たる 幕末外交物語』尾佐竹猛 文化生活研究会 1926
『武蔵野』鳥居龍蔵編 武蔵野会 第7巻第1号、第8巻第3~5号、第10巻第4, 5号、第11巻第1~3号、第13巻第4号、第5・6号、第10号、第14巻第4号、第26巻1, 7, 9号 1926~1939
『増補 維新前後に於ける立憲思想 後篇』尾佐竹猛 邦光堂 1929
『幕末明治 新聞全集(第一巻 文久より慶応まで)』明治文化研究会(尾佐竹猛)大誠堂 1934
『幕末維新の人物』尾佐竹猛 学而書院 1935
『明治元年土佐藩士 泉州堺列挙』寺石正路 宝文館 1937
『日本憲政史大綱 上巻』尾佐竹猛 日本評論社 1938
『日本憲政史大綱 下巻』尾佐竹猛 日本評論社 1939
『明治維新 上巻』尾佐竹猛 白揚社 1942
『明治維新 中巻』 尾佐竹猛 白揚社 1943
『民俗学辞典』柳田国男(監修) 民俗学研究所(編) 東京堂 1951
『史跡と名碑』本山桂川 金石文化研究所 1952

 興味深いのは明治文化の研究者でもある尾佐竹猛の著作が多いことである。この記念館の書簡検索によると、尾佐竹からの蘇峰宛の書簡が10通あるという。彼らの間にどのような交流があったのかが気になるところだ。

 また、寺石正路や本山桂川といった地方で活躍していた民俗学・郷土史の関係者の著作もあるのもおもしろい。本山桂川は民俗学の研究者で、『土の鈴』(発行場所は長崎県)、『民俗研究』(発行場所は千葉県)など生活拠点を変えながらも雑誌の発行を続けた。蘇峰との交流は以下の記事で触れた。(注2)

その後、蘇峰と本山の書簡を検討したnoteも投稿されている。

 寺石正路は、高知県の民俗学・郷土史の研究者で、これらの学問の高知県での先行者として知られている。また、柳田国男南方熊楠とも交流があった。上述の書簡検索システムを調べてみると、寺石から蘇峰に宛てた書簡は14通あることが確認できた。こちらもどのような交流があったのかを調べてみたいところだ。

 記念館の学芸員の方によると、事前に予約すれば蘇峰の蔵書の閲覧も可能のようだ。今後、蘇峰の蔵書を確認して各本がどのように読まれていたのかということが検討できればおもしろいかもしれない。

(注1)『異端の民俗学:差別と境界をめぐって』礫川全次では、尾佐竹猛の民俗学研究者としての一面を考察している。

(注2)本山桂川に関する研究に関しては、本文中に引用した以前の記事で紹介したが、先日以下の論文をウェブ上でみつけた。おそらく本山の生涯を知ることができる最新の論文になるだろう。

「本山桂川の足跡を探る」三村宜敬さん



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