ピースピースピースフルマインドフルネス
漠然とした将来への不安。大学でイヤイヤ書かされた60年分のライフプランは早くも1年目の時点で倒れに倒れた。
さて、昨日の私は金欠によるストレスのあまり早朝眠りにつくまで、呼吸を荒くし、白目を剥いていた。頼んでもないのに蕁麻疹と口内炎があらわれ、首元を触ると出血していた。シンプルに恐怖。
日中は、友人たちが購買意欲のままに散財するのを心ここにあらずで見守る。職場でも心なしか皆が私の不調に気付き、気遣われているような気がする。
最近、職場で毎日お菓子や飲み物をもらっている。そういえば2年前もそんな風な生活してたな。大学に行けば後輩が移動販売のクレープを奢ってくれたし、バイトに行けばご飯を作ってもらえたり奢ってもらえたりした。ありがたいことだ。
でもなんというか今の私は2年前と違って、余裕が無すぎて愛嬌がない。なにも返せないことを許してほしい。
このままではいけない。しかし病院にかかる金もない。そんなとき、私は一ヶ月ほど前に購入してしまったペヤングの獄激辛FINALが未だ開封されていないことに気づいた。
これを食せば私の体はアドレナリンとエンドルフィンを出さざるを得ない。数日間胃とその他の消化器系は荒れるだろうがそんなことは構わない。今の私にはピースフルマインドに持っていく為の強制儀式が必要なのだ。
ちなみに半年前、私は獄激辛を食し、ペヤングの企画開発がバズと引き換えに味覚を失っていることを知った。
実食。辛さは感じない、ただひたすらに痛い。3口、頑張った。たった3口だけなのに勝手に涙が出てきた。口内はともかく、唇が尋常じゃなく痛い。体が拒否している。水が甘く感じる。このとき私の頭ではKAT-TUNのLIPSが流れていた。これ以上私のLIPS(くちびる)を赤くしないでほしいし壊さないでほしい、激しくもしなくていい、優しくしてほしいマジで。
現実問題、私は3口食べる為だけに水を3杯も飲んでいた。このままではいけない。家から水が無くなる。
もう目の前のこれを食べたくない。少し前にブルマワンの炒め麺を食べたのを思い出した。今思えば美味しかった。プルダックも少し前はよく食べていた。今思えばあれは甘味だったのかもしれない。
人生、これは人生だ。せっかく辛いものにも慣れたのに次から次へと更に辛いものが目の前に現れる。辛すぎる。食えたもんじゃない。でもだからこそ、私は食い切らなければならない。これはプライドをかけた戦いだ。
まず私はこの劇薬じみた麺をまな板にひっくり返し、切り刻んだ。それからボウルに移し、千切りキャベツ、卵2個、スライスチーズをちぎったもの、水、薄力粉と混ぜ、ごま油で焼いた。弱火で両面焼けたらマヨネーズを軽くかける。カロリー爆弾の完成だ。3食分くらいある。私は今食べれそうな分だけ焼き、残りは明日にとっておいた。
実食。勝った。私は天才だった。食える。痛くない。辛くもない。確実に攻略した。これは人生の攻略といっても過言ではない。料理こそ正義。そのまま食うのが無理なら原型が無くなるほど料理すればいいのだ。
なんだかとても気分が良い。ニヒリズムを継承した私に希望に満ちたライフプランなんていうクソみたいな文面を作らせたどうしても許せない女教師が行き場のないストレスと性欲を持て余した学生達から私達を見下したそのだだっ広い講義室の真ん中でその全てをぶつけられている姿を想像した。愉快、愉快だった。女は高飛車で高慢でヒステリックで、真面目な生徒の真面目な意見さえも教卓で晒しあげて貶して、講義の8割を生徒へ文句を言っているような奴であった。全部ぶっ壊せ。精液と涙でぐちゃぐちゃになった女はまだヒステリックになにか喚くのだろうか。面白すぎる。滑稽だ。
そこまで妄想し、ひとしきり笑ったところで私は今の今まで胃を焼く自傷行為に走っていたことを思い出した。これがアドレナリンの効果か……
上がりきったあとは落ちるしかない。反動というものを忘れていた。私は胃痛に耐えながら、この夜を真っ逆さまに落ちていく。
ペヤング獄激辛FINALの獄はアドレナリンで上がった後、地獄くらい深く落ちるという意味合いでの獄なのかもしれない。それでも私は快楽を求め、ペヤングの新作をまた望んでいる。THE ENDのあとにFINALが来たんだ。きっと次もある。
どうせそのままは食べられないだろうけど。それでも、私はクソみてぇな人生を、愛す。
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