コーヒーと音楽 Vol.260 - Magnet
Magnet - Don't Be a Penguin
今までずっと紹介しようと思って紹介できなかった音楽を今日は取り上げます。
紹介するのは、Magnetというバンドの1997年リリース「Don't Be a Penguin」というアルバムです。
いつもはこの「コーヒーと音楽」コーナーでは曲単位で紹介しているのですが、このアルバムは例外。
1曲を選べません。聴くならアルバム全体で聴いてほしい、本当に素敵な作品です。
このアルバムは、昔レコード屋さんの軒の下にあるバーゲンコーナー(ぼくはあれが何より好きだった)で発見しました。ジャケ買いです。確か100円か300円のどちらかだったと思います。
あんまり音は期待していなかったのですが、いざ再生してみるとそこには心温まる音が溢れていました。
そして発見したのが、なんとMoe Tuckerが参加しているではありませんか!
信じられなくて調べてみるとやっぱりあのVelvet UndergroundのMoe Tuckerです。
↓Moe Tuckerが歌っている(泣)。
アルバム全体がとってもメロウ。寄り添ってくれるやさしさに包まれています。
ジャケットのイメージ、そのままの音。
Velvetsの音とは違うけれど、共通している感覚がどこかにあります。
そのどこかにMoe Tuckerも惹かれたのではないでしょうか。
↓Discogsで情報を確認。本当にあまり知られていないバンドなのがわかります。だからこそMoe Tuckerと一緒に演奏しているのが奇跡的。
↓この曲も歌っているのはMoe。ドラムはやっぱり彼女の音。
↓このMTVのページ(1997年5月5日)にMoe TuckerとMagnetのバンドリーダーMark Goodmanとの出会いについて書かれていました。
これ、すっごく良い出会いです。
Moe Tuckerは知る人ぞ知るVelvet Undergroundのメンバー。ぼくも大好きなバンドです。
でも大好きだからって自分のバンドにMoeが参加してくれるなんて夢のようなことは普通は思いもつきません。
ただMark Goodmanは違った。Moe Tuckerに自分たちのデモテープを送ったり、手紙を送ったそうです。そしてなんとMoe Tuckerから返信の手紙が。
返信するぐらい彼女はMagnetの音を気に入ったのでしょう。
そしてある時、Markは意を決してMoeにドラムを叩いてくれないかとお願いします。
もう20年もスタジオでドラムは叩いていなかったMoeがついに動いた瞬間です。
これだけでぼくはもう感動してしまう。
彼女は文通だけでやり取りをしていたMarkのバンドMagnetのレコーディングに参加するためにNYを訪れます。
そしてできあがったのが、このアルバム「Don't Be a Penguin」です。
Moe Tuckerを迎え入れた経過を知って、このアルバムを聴くとさらに心が温まります。
セールス的には上手くはいかなかっただろうし、アメリカはもとより日本では全く知られていないバンドのアルバム。
しかし、ぼくの中では名盤中の名盤アルバムです。
ぼくも中学・高校生のときに文通を国内、国外の人々としていた時期がありました。
今は文通なんてすることはまずないけれど、文通ができる時代をかろうじて経験できたことはぼくの人生の宝物です。
そういえば文通をぼくがしていたのも、このアルバムがリリースされた1997年あたりでした。
同じような時期にMoeとMarkも文通をしていて、このアルバムができあがった。
運命を感じるアルバムです。
今日は大切な音楽に包まれてゆっくり過ごそう。
<今日の誕生日>
12月28日
ジョン・レジェンド(1978 - )この日生まれたアメリカのR&B、ソウル歌手、ソングライター、ピアニスト。
Johnny Otis(1921 - 2012)この日アメリカで生まれたミュージシャン。
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