資本主義をハックするvol.3
衣食住=環境
2016年にGoogleが自社のニューヨークのオフィスである実験を行ったそうである。
多様なお菓子が置いてあり、それらを自由に食べられるスナックスタンドを起点に、2箇所のドリンクバーを設置し、ひとつはスナックスタンドから1.8mの距離に位置し、もう一つは5.5m離れた場所に設置。
従業員400人の行動をしばらくの期間追っていったところ、どのドリンクバーを使用したかによって、行動に如実に差が出たという。
スナックスタンドから近いドリンクバーを使った人のほうが、そうでない人よりもお菓子を食べる量が69%が高かったという。
ヒトは環境に弱いということを知らずに、毎日スナックバーに近いドリンクバーを使っていると、積み重ねにより、カロリー過多になり、容易に太ってしまうということを示唆している。
ちょっとした環境の差が、肥満をもたらすという事例である。
すさまじく頭のいい集団であるGoogleの社員でも、このように容易に環境に影響を受けてしまうということで、励まされたりもするが。
さらにサラダバーを社員食堂の入り口に置いてみたら、野菜の摂取量が増える傾向にあったり、デザートを乗せる皿を小さくしてみたら、食べる量が減る傾向にあったという。
Googleは環境がいかにヒトに影響を与えるかということを重視しているようであり、こうした実験をたくさん行っている。
Googleだけではなく、今や一流企業はこぞって、行動経済学の重要性に着目し、行動経済学の専門家を雇い、それに特化した部署を設立していたりもしているそうである。
そして、自分の衣食住を見直して整えるということは、環境を整えるということ。
環境を整えるとは、拡大していくと、資本主義をハックすることにつながっていく。
Googleの実験を教訓に、ヒトは環境に影響をモロに受けることを念頭において行動したいところである。
衣食住を整えることは、行動をデザインすることであり、それは人生をデザインすることにつながる一連のひとつのアートなのだと感じる。
環境デザイン
自分の環境について考えたい。
例えば衣食住における「衣」であるが、クローゼットの中の見える部分に明らかに着ないような服が混じっていたり、隙間なく並べられていたりすると、毎日そこからその日に着ていく服を選ぶだけで、朝から脳のリソースが無駄に使われることになる。
クローゼットにかかっている服を1週間分だけに留めて、見える化する。
月曜日から金曜日までのセットを作り、左から右に向かって順番に着ていく。
または、月曜日から水曜日をワンセット、水曜日から金曜日をワンセット、これで2セット、残り1日の日曜日はフリースタイルとして、その日の気分で決める。
こうすれば、脳のリソースの省略化になる。
こうした仕組みを作ることも環境による力だと思う。
もう1つ。
わたしは最近、朝起きたら軽いジョギングをする習慣を形成しているところである。
今の季節は夏だから、夜はTシャツに短パンで寝ているのであるが、玄関に靴下とイヤホン、帽子だけは前日に夜にセットしてあるので、朝起きたら、着替えをせずにものの3分もしないうちに外に出れる仕組みを作っている。
こうすれば、朝起きた時に着替えるのが面倒だから走るのをやめようとかそういったことも起こらない。
audibleで聴きたい本が山積みなので、それを聴きたいがためという付加価値も加わり、軽くジョギングということのモチベーションはあるので、簡単に外に出る環境さえあれば、ハードルは俄然と下がる。
これも環境を利用しているといえる。
反対に悪い環境の例として、ダイエットしたいなと考えていても、すく手が届く場所にお菓子やアイスクリームがあったりする。
これはそもそも家に置いておかなければいい話なのだけれど、家族が買ってきてしまうため、致し方ない。
自分もついつい、気が緩んでつまんでしまうことがあるから、この点は今後の課題ではある。
アイスクリームは冷凍庫というただ1箇所にしか保存場所がないため、どうしようもない。
その日に食べる分しか買わないようにして、食べる日も何か記念日とか特別な日にだけにするという対策も考えられる。
お菓子に関しては、キッチンの収納という容易に手が届く場所にあると、そこを通るたびに誘惑にかられる。
ものの数秒で口に出来る環境が整っているのに、「なかなか痩せれないな」なんて、木を見て森を見ずである。
なので、最近は2階の押入れのキャンプなどで使うクーラーボックスの中に入れて、その上からまた荷物を置いておくようにしている。
これだと、食べたい時には、まず2階に上がり、クーラーボックスの上に積んである荷物をどかして、クーラーボックスの蓋を開けるという段階を踏む必要があるので、ハードルはやや上がるから、心理的なストッパーとなっている。
これにより、以前よりは間食する頻度は減っている。
行動デザインでハックする
資本主義社会は、とてつもなく便利である。
買うつもりなんてないのに、コンビニに吸い込まれてしまう。
暇だからとショッピングモールに行けば、買う予定もなかった服を買ってしまう。
Amazonを開けば、いつのまにかボタン数回を押すだけで、翌日には欲しいモノが家から一歩も出ずともに手に入る。
ある意味、見方を180度変えると、便利さとは一種の罠なのだと気づく。
それに抗うには、環境をデザインする。
心理的にも、物理的にも手に入りづらい環境を自分で作っていくことが求められる。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?