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難しい見込み客と対峙した話

FROM ボブ・バーグ

私が様々な書籍を推薦するのは、オーディオ教材やビデオ教材なども含めて、他者の経験や過ちを通して学べることが、世の中にはたくさん存在するからだ。もちろん、時には自分で失敗を経験することも大切だが、毎回それを自ら経験する必要はない。

そして、世の中には、私たちが手に入れられる優れた教材や資料がたくさんある。私が営業マンとして成功できたのも、たくさんの本を読み、オーディオ教材を聞き、時にはビデオ講座を見て学習したからこそだ。

重要なことは”実践する”こと…


しかし、それと同じく重要なのは、アイデアを学んだだけで終わらせるのではなく、実行して役立てることにある。あなたも役立ちそうなアイデアを見つたら、感心するだけでなくすぐに実践してみよう。

こうした内容をお話する際、マッケイ氏が本の中で紹介した、なかなか連絡を取れない「手強い見込み客」に辿り着く方法を思い出す。当時、私はあるまさしく「手強い見込み客」に辿り着くのに苦戦していた。その見込み客の秘書がなかなか私の電話を取り次いでくれなかったのだ。幾度となく電話をかけても「彼は取り込み中のため話が出来ません」と取次いではくれなかった。

それまでの私なら、電話に出ない人や、折り返し電話をかけてこない人とは、関わるのをやめていた。しかし、この相手は大きな組織のトップであり、私はそこにたくさんのビジネス・チャンスがある事を知っていた。また、私の父であるマイク・バーグは次のような格言を私に授けてくれていた。「強い人とは、自分の感情をコントロールし、敵を味方に変えられる人である」と。見方を変えれば、私は”強い人になれるのか”どうかを試されていたのかもしれない。

もはやこの時点で、この手強い見込み客が敵に見え始めていたため、私は彼を味方に、それが無理ならせめて取引相手にしようという強い意欲があった。私はまた電話をかけ、彼と話が出来ないか尋ねたが、またしても彼の秘書に「取り込み中のため取り次ぐことが出来ません」と言われた。

私が「電話でお話しする機会を設けさせていただけませんか?」と尋ねても、「多忙のため、それも難しいでしょう。内容を文書で送ってください。」と返されてしまう。あぁある意味なんて感じの良い人なのだろう。そこで私は、マッケイ氏の本からほぼ抜き出す形で次のように返してみた。

書籍にあった優れたアイデアを実践してみると…


「それでは、200秒だけお時間を頂けないか、聞いてください。もし1秒でも過ぎたら、彼の指定するチャリティー団体に500ドル寄付します。」すると彼女はうんざりした様子で「少々お待ちください」と言い、電話は保留に切り替った。

保留中の音声テープは、この会社がいかに最高のカスタマー・サービスを誇り、人を大切にしているかについて繰り返し述べていた。申し訳ないこれはジョークだ。最後の部分は私の脚色だが、もしあのときそのような音声が流れていたら、どれほど楽に捉えることができただろうか。

ここでのポイントは、置かれた状況に合わせて言い方を変えてはいるが、本のアイディアをほぼそのまま抜き取って使っている点ところにある。この方法が取引に繋がるという確信はなかったのだが、これがに残された私の最終手段だったのだ。ようやく彼女は電話口に戻り、「お待たせしました。明日の朝、9時ちょうどにお電話ください。そして…チャリティー団体の名前は、ハート・ファンドです。」と言い電話を切った。

こうして彼に辿り着くことができた私は、約束時刻に彼に電話をかけた。時計をチラチラ気にしながらの電話だった。私も初めての試みだったため、200秒が思いのほか長い時間であることを感じた。以前、彼に送った役に立ちそうな資料や、毎月送っている資料を受け取っているか、また彼がその内容に興味を持っているか、そして将来的に取引の可能性があるかを確認するのが目的ではあった。

彼にいくつかの簡単な質問をすると、私の資料を受け取っていたことが判明した。しかし、彼は自分を多忙だと思っているため、誰とも電話で話さないようにしていることもわかった。そして、簡単な内容を説明し、電話を切った後、すぐにマッケイ氏が提案したもう1つの事を実行してみた。結局、彼の指定したチャリティー団体に少額の寄付をしたのだ。彼の地元のハート・ファンドへ少額を寄付し、小切手のコピーを取り、次の文章をカードに書いておいた。

「○○さん、お電話でお話しする機会をいただきありがとうございました。お約束した通り、200秒は超えませんでしたが、ハート・ファンドに敬服する者として、あなたの名義で25ドルを寄付させていただきました。」

結果はどうだったのか…?

では、バーグさん、結局その人から仕事はもらえたの?と疑問に感じていることでだろう。実のところ、1度ももらえることはなかった。しかし、やってみなければ、何も始まらない。彼とはそういう運命だったことも知ることすらできなっただろう。

しかし、この件以降、私は何度かこのアドバイスを実践し、ようやく取り次いでもらえた人に仕事を依頼された経験もある。面白い事に、手強い見込み客がすぐに電話に出てきて、チャリティー団体や時間制限について一言も触れずに話しを聞いてくれたこともあったのだ。

私が思うに、彼らは何か違ったことをしている営業マンを気に入ってくれたのだと思う。しかし、繰り返しになるが、私はこの手法を自分で編み出したわけではない。そもそもこのアイデアがマッケイ氏の発案であるかも定かではない。少なくとも、効果的で、誰しもが真似しやすい手法だ。そしてこれこそが肝心だ。

ちなみに、この手法は毎回うまくいくのだろうか?決してそうではないだろう。私が思うに毎回、必ずうまくいく手法など存在しない。しかし、どの手法も、時と状況に合えば功を奏するかもしれない。1度も挑戦しないよりは、確実にうまくいく可能性がある。

これが、私が教材や書籍に投資することをお勧めする理由だ。私のオフィスには、ネットワーキングや仕事の紹介に限らず、あらゆるな分野の書籍やオーディオ、ビデオなどを備えた資料室を備えているほどだ。そう、誰もが、学ぶことで自らを向上させる努力をすることができる。

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