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『 THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019 』に見る、フェスの魅力と楽しみ方

10月5日(土)6日(日)鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンドにて、音楽フェス『 THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019 』が開催された。

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鹿児島人の誇りである、桜島の山麓で開催されたこのヘス(鹿児島弁で火山灰を“へ”と呼ぶこともあり、このイベントはフェスでなくヘス)。初開催の昨年に続き、今年で 2 年目となるのだが、桜島で数万人規模のイベントが開催されるのは、2004 年 8 月に開催されたシンガー・ソングライター、長渕剛の『 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 』以来。
そして、福岡『 NUMBER SHOT 』、長崎『 Sky Jamboree 』など、九州にも多くの音楽フェスが存在するが、九州南部でこの規模のフェスは初めて。

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(火山灰が舞ってテーブルの上に積もるほどの日も)

初開催となった昨年の大成功を取り上げたメディアの影響や九州全域に向けた宣伝告知、さらにSNSや口コミの評判もあり、鹿児島県内はもちろん、九州全域で大きな話題に。
今年は 2 日間で33,000 人と昨年以上の観客を集めた。

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では『 THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 』にどんな魅力があるのか? 他のフェスと何が違うのか? そして、どんな楽しみ方が出来るのか? まずは音楽ライターを生業とし、全国多数のフェスを経験する僕から見た、ヘスならではの魅力と楽しみ方を伝えたい。

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昨年、初開催となったヘスの会場を訪れた時に驚いたのが、桜島に到着するまでの小旅行感が与えるワクワクと会場のロケーションの素晴らしさ、そしてホスピタリティの充実ぶりだった。

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桜島に行ったことのない人に少し丁寧に説明すると、鹿児島市の中心である、鹿児島中央駅から市電(ちんちん電車)に乗って、約 20 分。鹿児島港から桜島フェリーに乗って錦江湾を渡って、約 15 分で桜島に上陸。桜島港から徒歩 10 分というのが、会場までのアクセスなのだが、まずこの“小旅行感”がたまらない。

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特に気持ちを高揚させてくれるのが、桜島フェリー乗船中のわずか 15 分の船旅。
ちんちん電車から眺めていた市内の景色と桜島を臨む海上の景色や、甲板に出た時の涼しい風が与えてくれる非日常感。そして桜島が近づくに連れて想像させる、これから始まる最高な一日や大好きなアーティストのライブへのワクワク感がたまらない。

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日常の延長上にある都市型フェスや、シャトルバスの送迎でスムーズにゲートイン出来るフェスの便利さもあるが、ヘスはちょっとした不便さがたまらなく良い。ちんちん電車からフェリーに乗り継いでという、貯めの時間があるからこそ、桜島の大自然の中に飛び込んだ時の開放感たるやハンパない!のだ。 

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そして、いざ会場に到着。
まずはメインの薩摩ステージと大隅ステージが設置された“薩摩・大隅エリア”へ足を運ぶと、桜島の裾野にハの字型に両ステージが設置された、会場のロケーションの素晴らしさに絶句。
神々しくそびえ立つ御岳と巨大ステージのマッチングは異質ながら、ここに生まれる奇跡みたいな光景を容易に想像させてくれ、ヘスへの期待を煽りまくる。

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さらにサブステージとなる、与論ステージが設置された“与論エリア”へ足を運ぶと、中央に祭りやぐらを想像させる、木製の巨大モニュメントが置かれた大きな広場にはたくさんの屋台が設置され、その雰囲気はお祭りさながら。

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オフィシャルグッズやアーティストグッズの販売ブースはもちろん、飲食ブースには、さつま揚げや鹿児島黒豚、白熊(かき氷)、奄美の鶏飯など、鹿児島のご当地フードに加え、全国寄りすぐりの飲食の屋台が約30軒。雑貨&ワークショップブースには、鹿児島のお土産や名産、ヘスで役立つバッグやサングラスといった雑貨が売られた屋台が並ぶ上、漆芸の工芸体験や大島紬を使った作品制作など、伝統工芸品のワークショップも多く並び、ライブ以外の時間も退屈させない。
「 薩摩Spirits 」という焼酎ブースには鹿児島県の有名酒造が集い、本格芋焼酎も販売。鹿児島産焼酎が飲み比べ出来るフェスなんて、聞いたことない!

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極端な話、デイテントエリアにタープを張って、与論ステージの音楽をBGMに飲食や雰囲気を楽しんでいれば、与論エリアだけで十分、充実した一日を過ごすことが出来てしまう。いや、実際に昨年参加して、ヘスの雰囲気を知っていれば、今年そんな楽しみ方をした人もいたのではないだろうか? 与論エリアの隅には、デイテントエリアも設置。フジロックや朝霧JAMなど、友達同士で連れ添って参加して、会場にテントとタープを張って、キャンプをメインとした楽しみ方が出来るフェスも多数あるが、キャンプとライブがこんな近く共存して、その両方を気軽に楽しめるフェスを僕は他に知らない。

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キャンプをメインとした楽しみ方というところでは、今年から“薩摩・大隅エリア”、“与論エリア”に加えて、“キャンプサイトエリア”も開設。
ヘス前日の 10 月 4 日(金)昼から、ヘス終了後の 10 月 6 日(日)23 時までキャンプを楽しめるエリアを多くのキャンパーが利用した。

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ヘス前夜の 4 日(金)夜にはコウメ太夫ほか多数のお笑い芸人に加えて、DJダイノジも出演した、前夜祭と言える「 for CAMPER in 与論ステージ 」も開催。初日の本編終演後もYOSHIROTTEN、川辺ヒロシ、山岸竜之介のDJやライブアクト、ありがとうぁみの怪談話など、キャンパー向けのステージが 24時過ぎまで開催と、至れり尽くせりのおもてなしっぷり。

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今年、キャンプ参加した人の感想や評判が広がれば、来年は音楽ファンのみならず、さらに広い層の参加が予想出来るだろう。

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と、ここまで音楽ライブ以外の部分でのヘスの魅力を綴ってきたが、やはりこのヘスの最大の魅力は超豪華出演陣によるライブアクト! 

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今年は 3 ステージ合わせて、ジャンルの枠を超えた全 53 組が出演。9 時 20 分スタートのWELCOME ACTから、本編終了後のCLOSING ACT、さらには 22 時からの「 for CAMPER in 与論ステージ 」まで、一日中音楽が鳴り止むことのないタイムテーブルはサービス過剰なほどだが。

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選択肢が多いからこそ、それぞれが自分好みのタイムテーブルを組み、それぞれの楽しみ方が出来るのもヘスの魅力。中には「 せっかくだから、全アクトが見たい!」という人もいるだろうが、それをさせてくれないいけずさも、このヘスの魅力と言えば魅力。

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しかし、僕も全アクト見たいと思う貧乏性な性格なので、今年は薩摩・大隅の全アクト制覇に加え、与論エリアのライブも幾つか堪能。次回以降、今年の最高だったライブアクトを紹介し、音楽フェスとしての『 THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019 』の魅力を伝えていきたい。

文:フジジュン

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