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飛騨高山、2泊3日の旅

大学時代の友達5人で飛騨高山に行ってきた。以前ヨーロッパ周遊旅行に一緒に行ったのだが、そのメンバーでは1年ぶりの旅行である。
なぜ行き先が飛騨高山になったかと言うと、3ヶ月ほど前に集まった際にどこか旅行に行こうという話になり、季節柄、冬を楽しむ旅行にしようという声があがって、各々が行きたい場所をせーのでLINEグループに投下した結果、何故だか満場一致で白川郷に決定したのであった。ただ、行き先が白川郷に決まったは良いものの、調べてみると白川郷自体は3時間もあれば十分過ぎるほど楽しめる規模らしく、どうせなら高山市で温泉や郷土料理を楽しもうという話になり、2月の最初の三連休は高山駅周辺に拠点を置くことに決まった。

さて宿泊するエリアが決まり、次は新幹線とホテルを取ろうとなると思いきや、出発1ヶ月半前までLINEグループが稼働することはなかった。
出発1ヶ月半前になり全員がそろそろ予約しないとやばくね?となってやっと、仕事終わりにzoomを繋いでホテル探しを始めた。友達との旅行なんてこんなもんだ。
今回泊まった宿は最上階に大浴場があり、21:30-22:30で夜鳴きそばが無料で食べ放題だった。3泊以上いたら東京に帰りたくなくなりそうだったので、2泊にしておいてよかったと思う。

高山市に着いたその日はそのまま白川郷に向かった。小学校の社会の資料集か何かで見たことのある白川郷の合掌造り。勝手な思い込みで白川郷には4棟くらいの合掌造りの家があり、あとは養蚕に使う桑畑が広がっているかと思っていたが、展望台から白川郷全体を見下ろすと、少なくとも50棟は民家があり、そのうち少なくとも20棟は合掌造りで驚いた。家々を上から眺めて、屋根の角度が何度以上なら合掌造りと呼ばれるんだろうとふと気になったりした。白川郷には中を見学できる合掌造りの家がいくつかあり、それらは「和田家」「神田家」のように名前が付いていた。私たちは入場料400円を支払い和田家の中を見学した。2階建ての建物の中を色々と見て回ったのだが、途中閉じられたふすまの中央に「生活スペースのため開けないでください」との旨の張り紙を見つけ、ふすまの向こう側で和田さんは何をしているのだろうと考えてしまった。こたつでみかんでも食べながらゆっくりしていれば、日本中いや世界中から人々が400円を支払いにやってきてくれるのかと、世界遺産パワーを思わずにはいられない。もちろん和田さんには和田さんなりの苦労があるし、そもそも今住まれている方は和田さんではないかもしれないし、というか今もなお本当に誰かが住まれているかも分からないなと思ったところで、和田さんの生活を想像するのをやめにした。

白川郷から高山駅に戻ってからは「やぐら」という飛騨牛しゃぶしゃぶ屋に足を運んだ。飛騨牛のすき焼きと飛騨牛焼肉丼、それから焼酎をロックで。ストーブの効いた老舗の居酒屋で、幸福の作り方を知った気がした。
その日の夜はホテルの温泉に浸かり、部屋に戻ると驚くほど安らかに眠りについた。

翌朝7時、隣で爆睡している友達を横目に、私は1人でランドリールームへ向かった。「荷物を少なくすること」を旅の最優先事項にしている私は、2泊以上の旅行に行く際は途中で洗濯をしなければならない。1人の時間も大事にしたい私にとって、旅行中のこの時間も地味に好きな時間だったりする。13階のランドリールームで洗濯を回している間、窓際の席で銀世界を眺めながら本を読んで過ごした。私たちが眠っている間に静かに降り注いだ雪は、高山の街を真っ白く染め上げていた。色を失った世界があまりにも美しくて、私は時折本を置いてはうっとりと雪景色を眺めた。

8時からみんなで朝食をとった後は、宮川朝市に向かった。朝8時から地元の野菜や漬物、飛騨牛グルメや雑貨などが通りに立ち並ぶ、約200年の歴史を誇る朝市である。この旅行に替えの靴下を忘れた私は、おばあさんが履いていそうな五本指ソックスをゲットした。朝市でグルメを一通り楽しんだ後は、日枝神社とレトロミュージアムを訪れた。日枝神社は映画「君の名は。」の舞台とされている神社で、映画内で田舎育ちの女の子が「来世は東京のイケメンに生まれたい」と叫ぶ場所である。その後時空を超えて東京のイケメンと入れ替わるとは知らずに。レトロミュージアムは昭和〜平成初期のゲームやおもちゃを楽しめるミュージアムなのだが、楽しすぎたが故にここでの詳細な紹介は控えたい。昭和〜平成初期を知る人は、楽しすぎて5歳は若返ると思う。少しだけ情報を解禁すると、ファミコンやカプコン、昔のクレーンゲームやボードゲームなどが楽しめる。個人的には瞬間最大風速ならディズニーリゾートを超えた。

その日の夜は、17時の開店と同時に人気の海鮮居酒屋に行き、恋愛や仕事、人生のディープな話で盛り上がった。男女5人。同じ大学の同期だが、22歳〜24歳と年齢はばらばらで、働いている業界も少しずつ異なっている。だからこそ、ほどよく似ていてほどよく違う。私が彼女を好きな理由の1つが、同じくこの5人組に対しても当てはまることに気が付いた。出会って2年が経つ仲間だが、出会ってから今までで1番の居心地の良さを感じた。

翌日、東京に戻る日の朝は友人の声で目を覚ました。朝風呂に行ってから朝食会場へ。5人のうち1人が病的にカフェイン中毒で、カフェインを摂らないと頭が冴えないらしく、コーヒーを4杯飲んでいるのを見て4人でどん引いた。また、1人はいくら食べても太らない体質で身長168cmの男性で体重49kgというパリコレモデル体型なのだが、彼はどうしたら太ることができるのか、朝からみんなの頭脳を結集させたが答えを出す前に朝食会場の営業時間が終わった。

その後巨大な物産館でお土産を買い、老舗の中華そば屋で中華そばを食べたのち、今名古屋駅行きの新幹線で眠気に誘われている。

社会人の休日は限られていて貴重だ。だからこそ誰と過ごすか、過ごさないかは大事で、限られた時間の使い方がよりシャープに洗練されていくように感じる。2月の2回目の三連休は彼女とゆっくり過ごす予定だ。することは何も決めていないが、決めない楽しさもある。次の三連休まで終わって3月に入ったら、いよいよ春を迎える頃だなと窓に映る自分の顔が笑った。

名古屋駅へ向かう新幹線の窓側席で、飛騨高山の大自然を眺めながら。

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