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『文化なき国から』ノート

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『文化なき国から―喜劇一幕』劇作ノート

 イプセン風のリアリズム演劇を書いてみたい。そういう素朴な意欲から本作の執筆ははじまった。もちろんイプセンが描いた関係を現代の日本に置き換えるだけなら、演出の次元の作業で事足りる。これまでいくつかの既成戯曲を演出してきたために、演出家として「解釈し、表現する」ということを曲がりなりにも覚えてしまったので、劇作家としての独創性を追究しなければ、納得できなくなっていた。

 ところが、「文化なき国」育

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劇場なんか行かないーー No.3:神里雄大/岡崎藝術座『イミグレ怪談』

団体:神里雄大/岡崎藝術座
演目:「イミグレ怪談」京都公演
料金:3,500円(全席自由・一般)
劇場:ロームシアター京都 ノースホール
日時:1/29 14:00開演
時間:120分
備考:『公文協アートキャラバン事業 劇場へ行こう2』参加事業

よかった舞台のことはあまり書きたくない。書くことで大切な何かが抜け落ちて行ってしまうような感覚があるからである。そのとき失われると思っているもの、つま

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書き忘れた、2022年12月のこと。

ひさびさに、新町別館小ホールに行った。第三劇場の後輩の演劇を観るためである。2022年は一本も観劇しなかった。11月くらいまでは偶然だったが、途中からはせっかくだし、National Theatre at Home以外は観劇しないでおこうと心に決めた。ところが、後輩のTwitterのスペースのゲストに声をかけてもらい、企画自体に魅力を感じたのもあって、この一本だけ観劇することにした。観客の投票で結

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劇場なんか行かないーー No.2:缶々の階『だから君はここにいるのか【客席編】』

団体:缶々の階
演目:だから君はここにいるのか【客席編】
料金:3,000円(一般・前売り)
劇場:THEATRE E9 KYOTO
日時:1/14 18:00開演
時間:60分

同世代からの評価がそこそこあって、気にはなっていたのだが、個人的に行く気にならない情宣の雰囲気の団体だった。しかし、2023年はいろいろ観に行くつもりだったし、60分とスケジュールしやすいランタイムが事前に発表されてい

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20230108 「劇場なんか行かないーーNo.1:今年は観劇します」

団体:ニットキャップシアター
演目:補陀落渡海記(第43回公演)
料金:3500円(一般・当日券)
劇場:THEATRE E9 KYOTO
日時:1/8 13:30開演
時間:100分(予定)
座席:最前列シモテ2列目

 席位置、劇場的制約のせいかもしれないけれども、音響の圧が足りなかったこと以外には失点がなかった。おそらくだが、今回使用されていた楽器の多くがE9のような建築物を想定しているもの

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