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「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」を読んで(読書感想文#6)

心の病は社会的・環境的・遺伝的因子が絡んで発症する

対人関係療法について知りたくて、水島広子先生の「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」という本を読みました。

とても実践的な内容になっていて、すごくためになります。読み終わったら付箋40箇所以上になっていました・・・

摂食障害というのは、あくまで症状であって、心のバランスが崩れているということ。心の病は、社会的因子・環境的因子・遺伝的因子が絡み合って発症すること。この前提自体を理解できたことは、大きかったです。

摂食障害の人は、「協調性」が高く「自尊心」が低い

環境的因子は「変えられる性格」とも捉えられ、自尊心、協調性などがあるそうです。まずは協調性です。

摂食障害の人の特徴として「協調性」が比較的高い。
一方、「自尊心」はかなり低くなっています。
「自尊心」が低い人は、治療もなかなか続かない、ということになります。対人関係療法は、コミュニケーションの課題を患者さんがクリアーできなかったら、治療のハードルを下げます。課題達成できれば自信につながり、達成できなければ交渉能力が身につく。対人関係療法をお勧めする理由の一つがそこにあります。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す/水島広子・著 抜粋

協調性が高いと、自分だけ我慢してやり過ごすためにストレスをためることも多いので、やっぱり対人関係からアプローチするのが有効だということでした。いい顔をしては負担になって、親しい関係を継続できないというパターンがあることも知りました。

次に、自尊心。

自尊心を決めるポイント
1.存在そのものを肯定されているか
2.努力を正当に評価されるか
3.自分なりの試行錯誤が許されているか
4.自分の意見を表現することが尊重されているか

自尊心を低下させる例
1´最大の味方であるはずの親からの虐待、常に他人と比較してけなされる
2´努力を評価される前にケチをつけられる、当たり前のこととして特に評価されない
3´過保護な親にすべて先回りして決められてしまう
4´意見を言うと「生意気だ」「わがままだ」などと却下されてしまう

拒食症・過食症を対人関係療法で治す/水島広子・著 抜粋

人に迷惑をかけていないかという育て方をされると、自尊心が低下しやすい。

自尊心を高めるためには、心配せずに必要な時はやってみることが、大事だということ。自分で試行錯誤しながら、自分のやり方を見つけていく。「失敗しても、それを含めてあなたの存在に価値がある」というメッセージを送ってくれる身近な人がいるのも重要。だから対人関係療法では、重要な人間関係に焦点をあてて扱うのですね。

自分を知る、特に遺伝的因子(変えられない性格)を知ることが大事

冒険好き、心配性、人情家、ねばり強さ、こういった要素は遺伝的で変えられない性格だということです。

例えば過食症だと、冒険好きで心配性の場合が多い(かなり割愛しています、詳細は書籍を是非)。そうするとアクセルとブレーキのバランスが難しい。そこで、ストレスを軽減して心配性の部分を軽めに保つこと。それから、冒険好きを満足させる部分と、地道に満足できるための努力を確保することでも、バランスをとりやすくなる。

うーん、なるほど。だから、ストレスがかかるとどんな行動傾向になるのか知っておくために、自分の元々もっている遺伝的因子を把握しておくのが大事なんですね。

自己表現にここでまた出会う

では対人関係療法で実際に何に取り組むかというと、「コミュニケーション能力を向上させ、自己表現をうまくできるようにすること」が大事ということ。ここでまた自己表現の重要性に出会うとは。自分が向き合い続けているテーマに、戻ってきました。

例えばコミュニケーション分析で、問題のあるコミュニケーションパターンを探る。あいまいで間接的な非言語コミュニケーション、不必要に間接的な言語的コミュニケーション、言いたいことが伝わったという思い込み、理解したという思い込み、沈黙をとっていないか?検証していく。

そうして、どう伝えたらいいか考え、練習し、実践していく。すると、自尊心も高まるし、症状に頼らなくても相手に伝えられるようになるということでした。特になぜ伝えることができなかったのか(嫌われると思ったなど)を言葉にして、伝えていくのが大事。

「どう伝えたらいいかの部分」は、アサーションとかの話になるかな・・・
次は改めてそっち方面にあたるか、対人関係療法のコミュニケーション全般の本を読んでみたいです。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました!


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