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【こころ #56】卒業後も顔を出したい就労移行支援事業所


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M.S.さん


 M.S.さんは、大学4年生の時に就職活動がうまくいかず、「精神的に身体がダメになった」。卒業してアルバイトなどしても、「その会社の空間や雰囲気によって、体調や仕事のパフォーマンスが変わってしまう」。

 過度に精神的ストレスがかかることで声が出せなくなる『失声症』が最もひどくなって会社を辞めたとき、精神科の担当医師に「これ以上クローズドでは頑張れない」と訴えた。クローズドとは、自身の精神症状を職場に伝えずに、一般採用枠で応募し就労することを指す。

 それまで担当医師からは「障害者手帳を出すほどではないので、クローズドでごまかして働いた方がいい」と言われていたが、もう限界だった。担当医師から「(これまで)頑張らせ過ぎてごめんね」と言われ、M.S.さんは障害者手帳を取得した。


 一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行う『就労移行支援』サービス。

 担当医師から「(就労移行支援は)たくさんありすぎて期待できない」と言われた通り「正直あまり期待していなかった」中で門を叩いたのが、『atGPジョブトレ』という就労移行支援事業所。そこで出会ったのが、第46話でご紹介した虫生さんだった。



 「話を聞いてもらえ、ちゃんと支えてもらえ、(就労移行支援の)イメージを覆してくれた」

 これから事業所に入ってどのようにサービスを利用するかを利用者と支援者が一緒に考える『計画相談』の場で、「(ここに来た)あなたに国はそれなりのお金をかけている。使えるものは使い倒していきなさい」と言われる。「ただ守ってあげるのではなく、ちゃんとスキルを身につけて送り出そうとしているんだと、逆に信頼できた」。

 M.S.さんにとってそれまで「ウィークポイントを隠しながら過ごすことが最大のストレス」だったが、色んな特性のある利用者がいる事業所では隠す必要がなかった。その環境で朝から、ビジネスマナー、電話対応、エクセル、グループワークから成果発表まで、プログラムを使い倒した。実は、事業所には第29話でご紹介した小川さんも顔を見せた。先に就労した卒業生だった。そんな存在にも支えられた。

 その結果、M.S.さんは「わずか半年」で就労支援事業所を駆け抜けて就労した。


 いまM.S.さんは企業の特例子会社で働くが、同じチームの中に障害者はいない。さらに初見では「障害あるように思えない」と思われがちだ。だからこそ、「ウィークポイントがあります、だからこうしてほしい」が言えて受け入れられる環境の大切さを再認識している。

 確かに「発達障害」といった枕詞があることで説明しやすいかもしれないが、ウィークポイントを気軽に言える大事さは、子育て中のお母さんなど障害に限らない。世の中には発達障害向けの配慮事項なども整理されているが、それよりも「単純に体調が悪ければ言えるようなフラットなコミュニケーションが大事」とM.S.さんは話し、まず自分の弱みを知って話し合うような研修が企業内にもっとあってもいいのではないかと提案する。


 M.S.さんは就職した会社に慣れた今でも、かつて支えになった卒業生と同じように、今度はM.S.さんが事業所に顔を出している。そこで、利用者時代から今でも携わり続けているのが、第46話でもご紹介した、事業者の利用者・卒業生・職員が一緒になって取り組んだ創作誌『LINK BE』の制作。

 当初は「自分の経験を、自分で綴って、自分を肯定したい」利己的な理由もあったが、取り組むうちに「他者の経験を見ていると面白く、それまで気付かない視点も得られた」。

 また、特に創作誌の立ち上げ時はコロナ禍で、居場所やコミュニケーションに制限があった「自分にとって、会社と自宅以外のサードプレイスで役割や肯定が得られることでバランスを取れる面もあった」。逆に、今は「(他者に)そういった居場所を提供し続けることも自分の“仕事”になっている」と微笑ましく話してくれた。


 誰もが自分のことをわかってほしくて、どこかで吐き出したい。でも、そのためには、一方でそれを理解してくれる存在が欠かせない。これはもう「障害」に限る話ではない。誰もが自身の弱みを知り認め、周囲に不安なく言える環境。M.S.さんから頂いたお話は、その重要性が普遍であることを教えてくれているのではないか。




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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