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【こころ #11】誰しも人間一度きりの人生を幸せに

中澤 美和さん(後編)


前編から続く)

 福祉分野に携わるようになって一番の想いは、「偏見をなくしてほしい」。誤解を恐れず言えば、健常・障害に関わらず「誰だって“やっかい”なところはあるはず。」

 誰しも家を出るときに一度は鍵をちゃんと閉めたか確認するだろう。中にはそれを何十回も確認してしまう人もいる。「誰しも心配事ってありますよね、それを100倍感じてしまう人もいるんです」。

 悩みやストレスが募ると体に蕁麻疹が出る方がおられるとする。「幻聴という言葉だけを聞くと怖いかもしれない」が、それは蕁麻疹に代わる、その人なりの症状だ。「幻聴聞こえちゃって大変だね?程度の受け取りでよく、音楽でも聞く?外出してみたら?という声をかける」ことに大きな違いはないはずだ。

 精神障害に限らない。発達障害のお子さんの中には、言葉をうまく使えずに、気持ちがこもるとちょっとした奇異な声を出す子もいる。「ご家族はそれが嬉しい証拠だとわかっても、電車の中なら周囲が離れていってしまう」。

 人間誰しも「自分と違うものや知らないものに対して恐怖感や不安感を頂くことはわかる」が、だからこそ、「知ってほしい、できれば自然な形で」。そして、「全く健常者と関われないような人物ではないとわかってほしい」。


 精神障害や知的障害のある方が暮らすグループホームの施設長として、一人ひとりの自立に向けて、ゴミ出しや部屋の掃除一つとっても「どのぐらい力いれてやってもらうか、頑張れと言わない方がいいか、それとも自分でやってみてとお尻を叩くのがいいか」、それだけ繊細なさじ加減で、サポートと自立のバランスを培ってきた。

 時に「専門資格をもっているのに、大家さんみたい」と揶揄されたこともあるが、それでも一つずつ成長してもらい、一人暮らしや就労へと送り出してきた。

 ただ、障害者雇用に取り組む大企業であっても、まだまだ障害者への理解が乏しいと感じることもあるそう。例えば、コミュニケーションがとても上手で一見見た目にはわからない知的障害の方がおられる。会社の担当者から「読んでおいてください」「紙に書いてありますよ」と言われても、その方は漢字や文章がうまく読めない。結果的に有給取得の仕方がわからず、代わりに中澤さんが会社に電話してあげたこともある。


 中澤さんが最後におっしゃった。「別に“障害のある人だから”じゃなくて、誰しも人間一度きりの人生を幸せに暮らして欲しいですよね」。その後に付け加えた。「でも、頑張ってね!だけでは幸せになれない人もいる」。だからこそ、「一緒に幸せになりたい」。

 そんな中澤さんが障害のありなしに関わらず命を輝かせる空間として実現した取組が、『ユニバーサルディスコ』だ。一人の障害者の「踊りたい」という夢を、支援を募り、ディスコの伝説である六本木のマハラジャで叶えた。障害のある方が藍染製品の制作にも取り組んでいる『社会福祉法人 藍』では今後も、障害のありなしに関わらずモデルさんがその藍染製品をまとったファッションショーの開催を検討中で、ご支援いただける方を大募集しています。



▷ ユニバーサルディスコ


▷ 社会福祉法人 藍



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