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ピンチをアドリブで乗り越える技 60/100(チーム)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
今日からは、「ピンチに強い精神力」とは何か、考えていきたいと思います。
そもそも、何をピンチと感じるか、人によってそれぞれだと思います。
たとえば、私たち役者が職業上、一番青ざめるのは、本番中に次のセリフが出て来ない時です。
これ本当に恐怖で、全身の血の気が引きます。
役者がよく見る悪夢もこのパターンが多いです。
悪夢には、もう一つあって、もっと怖いのは、一切稽古してない、知らない芝居になぜか出演してる、もしくは出番前の舞台袖にいる。
ってやつです…
観客と共演者の注目が自分に向いているんですが、頭の中は空っぽ。何も浮かんでこなくて、嫌な汗が流れます。
あ、これは悪夢じゃなくて、現実での話です!
まあ、ピンチですよね。
ヘリコプター理論を用いれば、まあそこまで重要なピンチではないのですが、その瞬間の破壊力は凄まじいです。(8/100参照)
でも、この状況にもいくつかパターンがあると思います。
舞台上に自分しかいなくて、重要な公演。
全体の中で非常に重要なセリフで、これを言わないと物語が続かない。
相手役が重鎮で、怖い顔をしている。
舞台上に自分しかいないが、舞台袖にはセリフを教えてくれそうな仲間がいる。
掛け合いのシーンで、相手役がフォローしてくれそう。
大人数のシーンで、このセリフがあってもなくてもシナリオに影響しない。
次のセリフが出てこないと気がついた瞬間の衝撃は変わりませんが、次の瞬間には、上記のどの程度のピンチか、瞬時に判断します。
ピンチに直面した時、その状況に飲み込まれてしまい、思考が停止してしまう。
これが一番まずい状況です。
それを防いでくれるのが、冷静に俯瞰して自分のことを見守ってくれている、The Witnessの存在でしょうか?(7/100参照)
次のセリフが出てこない、という事象自体は同じですが、状況によってその度合いは大きく変わるものです。
そもそも、もしこれが即興演劇の最中ならば、次のセリフ自体そもそも存在しないので、あまりピンチには感じませんよね。
即興の流れが止まってしまうので、結構問題ですが、即興術を用いて誤魔化すことは可能です。
独白のシーンであっても、
「と、ここで何を言ったら良いのか分からなくなった。」
なんて言っても別に問題ないです。
セリフの決まってる芝居の中でも、この状況からどうやって抜け出すか、いくつかご紹介しましょう。
まずは、何か適当なことを言う。
これは、セリフが出てこなくても、『思考回路マッピング』(56/100参照)が頭に入ってれば、何か似たような意味合いのセリフを言うことができます。
まさに、
アドリブでピンチを乗り越える、
パターンですね。
こういう時に、脳内思考回転速度を上げておくインプロ(即興)の心得があると、強いです。
他には、間をとっているだけのように見せかけて、待つ。
というのもあります。
これはかなり恐怖ですが、セリフを覚える稽古を積んでいれば、必ずいつか出て来ます。口の筋肉が覚えている、というような感覚です…
それでも出てこない時!
もう、沈黙して、あたかも次は相手役のセリフであるかのような態度で挑む。
という荒技もあります。
ピンチの押し付け、ですね。
私も何度かこれをやられたことがあります…
まったく酷いことです。
でも、ここで一つ演劇エキササイズを思い出しました。
チームビルディングの一環としてよく行われるのですが、みんなで輪になって、ボールをトスしながらパスを回していきます。絶対に地面に落としてはいけません。
よくあるゲームですよね。風船とかでやったことありませんか?
自分が責任持って上げる!という意思表示が大事だったり、逆に無理だと思ったら瞬時にスペースを空けて、他の人に託す度胸が必要です。
The Show must go on.
と言われますが、公演は止めてはいけません。チームが一丸となって、セリフというボールを繋いでいかなくてはいけないのです。
ピンチに陥った時、もしそこに仲間がいるのならば、思い切って身を預けても良いのではないでしょうか?
(余談ですが、今この投稿は新幹線内で書いてるんですが、隣に座ってるスーツ姿の中年の男性が、スポーツ紙を読みながらずっとブツブツ文句を言ってます。何やら小刻みに貧乏ゆすりまでしてますね。イライラしてるのでしょうか?それとも高速移動列車が苦手なんでしょうか?ちょっと強面で、こじらせると面倒そうな感じですが、この人って絶対、
ピンチに弱い、ですよね…)
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