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『本当に大切なもの』と向き合える小説

もし、あなたが今ご結婚されていたり、
大切な家族がいたり、
お子さんをご妊娠されている場合は、
今すぐ手に取って欲しい1冊です。


小説は、主人公まりあが
全てを失って島へ行くところから
始まりました。

島では、
大切な人がいなくなってしまったのに、
その子の子供がお腹にいることが発覚。

お腹の子供と一緒に、
主人公まりあ自信が十月十日をかけ、
成長していく物語です。

「よく、女性は出産をすることで
人生をゼロに戻してリセットできる
とか言われるけど、そうじゃないの。
出産に至るまでの過程で、
少しずつ少しずつ無駄なものに
気付いたりしながら、
リセットされていくの。
産むことが大事なんじゃなくて、
産むまでのプロセスが重要なのよ。」

小川糸『つるかめ助産院』より引用 

作中のこの言葉の通り、
出産に至るまでの過程の中で、
主人公自信が本当に大切にしているもの
に気づき、リセットされていきました。

本当に大切にしたいものは何か?
今まで何が自分の中につっかえていたのか?
自分は本当はどうしたかったのか?

主人公が自分のにとって大切なものを
見つけていくのを読みながら、
読者である私自身も
一緒に成長しているような
そんな気持ちになれました。

そして、本当に大切なものは
意外と少ないのではないか?
と感じました。

私たちが生きる今は、
生活が豊かになりすぎて、
生活必需品はすぐに購入でき、
食材が切れればコンビニでも買えます。

しかし、作中に主人公が滞在した島は
そんなものは何もなく、
必要なものは自分たちで育てたり、
作ったり、交換したり・・・

お世辞にも便利とは
かけ離れた場所です。

そんな便利とは正反対の場所
に滞在していくうちに、
1つ1つの事象に向き合えた主人公。

読み始めた頃は、
人間不信で何枚も皮をかぶっているような
性格だったのですが、

読み終わる頃には、
素直で思いやりのある、
素敵なお母さんになっていました。


そして、私自身も
本当に大切なものは何か?
を考えることができた一冊でした。





編集後記〜小川糸さんの食事の描写が最強〜

作中に出てくるパクチー嬢が作る、
海老のココナッツカレー炒めや、
新鮮そうなパクチー、
エミリーが作る、
ジーマミー豆腐など・・・

たくさんの島国ならではの
美味しそうで元気が詰まっていそうな
食べ物が登場します。

食べたことのない食べものなのに、
なんとなく美味しそうなのが想像でき、
小川糸さんの食べ物の描写の凄さ
まざまざと感じました。

食べるのが好きだと、
美味しそうな食べ物が出てくる小説や
エッセイは自然と読み進めやすいですよね。

食べ物系といえば・・・
最近テレ東系で放送されているドラマ、
『シェフは名探偵』の原作である
近藤史恵さんの小説も
近々読んでみたいです^^

「タルト・タタンの夢」
「ヴァン・ショーをあなたに」
「マカロンはマカロン」
の3作が原作のようですが、
タイトルから既に甘くて美味しそうです。



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