見出し画像

ピュアすぎる恋愛小説

やっと読めました。
三島由紀夫さんの『潮騒』。

三重県にある空想の島、
歌島を舞台に、
10代後半の青年と少女、
新治と初江が繰り広げる
超純愛ストーリーです。

舞台となった歌島は、
三重県鳥羽市にある
神島
からとったと言われています。

八代神社や灯台の様子など、
三島由紀夫さんが
数回にわたり現地に
行かれているだけあり、
かなりリアルに描かれていました。

主人公の二人は、
年頃で、いくらでも
先に進むことのできる
チャンスがあったにも関わらず、

結婚まで純潔を守り抜いた
二人の純愛ぶりに、
読んでいて感動しました。


それに加え、
使われている言葉の巧みさ、
というか、

一言で言うと、
『こんな言葉の使い方できるの?!
かっこい〜!!!』

と思う箇所がたくさんありました。


180ページほどで、
読むのにそんなに時間が
かからない作品なので、

今回は、
本文中の印象的だった言葉
紹介したいと思います。




印象的だった言葉

漢字や難しい表現が多いですが、
何故か、簡単に頭の中で
イメージできてしまう
不思議な文章でした。

また、現代小説と異なり、
少し堅苦しい感じの表現が
当時を想像しながら読むのに
心地よかったです。

想像力が掻き立てられる言葉を、
早速、紹介していきたいと思います。


潮騒だけが、
その殺風景な部屋いっぱいに漂い、
まるで部屋には
人っ子ひとりいないように思われた。
三島由紀夫『潮騒』 108ページより引用
しかしその老いの裸は
流石に見事である。

赤銅色の四肢には
目立ったたるみもなく、
鋭い目と、頑強な額の上には、
獅子の鬣のような白髪が
乱れたっている。

酒焼けのした胸の赤らみと、
この白髪がいかにも
怪異な対象を成している。

隆々たる筋肉は
久しく使われないために硬くなり、
それが波に打たれて
いっそう峻しくなった
巌の印象を強めるのであった。


三島由紀夫『潮騒』 110ページより引用
あくる朝、
新治が目をさますと、
枕のかたわらに
明るい日ざしが落ちていた。

寝台の丸窓から、
彼は颱風の去ったあとの
澄明な青空と、
亜熱帯の太陽に照らされた
秀山のけしきと、
何事もない海の煌めきとを見るのであった。


三島由紀夫『潮騒』 170ページより引用
すると夜は星に充たされ、
雲といえば知多半島の方角に、
時々音の聞こえない稲妻を
走らせている低い雲が
横たわっているだけであった。

潮騒も激しくはなかった。

海の健康な寝息のように規則正しく、
安らかに聞こえた。

三島由紀夫『潮騒』 182ページより引用



『海の健康な寝息』とか、使えますか?

さっきご紹介した
文章の中にあった
海の健康な寝息』や

澄明な青空』、
赤銅色の四肢』など
文章を書くときに使えますか?

言葉の意味がわかり、
イメージはできても、
実際に使うことはできないですよね。

だから、多くの人が
三島由紀夫さんの作品に
感銘を受けるんだと感じました。





最後に 新潮社プレミアムブックカバーっていいよねって話

たまたま2009年当時に
購入したプレミアムブックカバーの本。

毎年様々な名作が
プレミアムブックカバーとして
今でも発売され続け、

企画としては10年以上
続いています。


たまたま、本に当時の帯を
挟んだまま保管していました。

実家で保管していたため、
年季を感じますが・・・

これを見つけて、
すごく懐かしい気分に浸れました。

当時は運動一筋だったので、
本を読むこともほとんどなく、

かっこいいブックカバーでなければ
名作を手に取ることも、出会える事も、
なかった
と思います。

そう思うと、
プレミアムブックカバーの企画って
素晴らしい企画だなと感じました。


手に取ったり、
読んだりする事で、
買った当時や初めて読んだ頃の心情を
思い起こせることは、
紙の本の良さの一つかもしれませんね^ ^

この記事が参加している募集

サポート不要です!応援したい方がいればぜひその方を応援してください!「応援」という貢献があなたをポジティブにします