そろそろ会社で幸福の話をしよう #004 「幸福と性格の関係」
今回は、以下の情報を参考に、「幸福と性格の関係」について考えてみた。
Anglim, J., Horwood, S., Smillie, L. D., Marrero, R. J., & Wood, J. K. (2020).
Predicting psychological and subjective well-being from personality : A meta-analysis. Psychological Bulletin, 146(4), 279–323.
●462の先行研究(対象者計334,567名)のメタ分析から、「主観的well-being(主観的幸福感)」および「心理学的well-being(心理学的健康)」と、「性格(パーソナリティ)」の関係を検討。
*️⃣「主観的well-being」=人生満足度、ポジティブ感情、ネガティブ感情のなさ
*️⃣「心理学的well-being」=積極的な他者関係、自律性、環境制御性、自己成長、人生の目的、自己受容
*️⃣「性格」=下記①〜⑤から、総合的に個人を理解するビッグファイブモデル
① 神経症傾向:抑うつや不安などを感じやすい
② 外向性:世界や他者に積極的に向かっていく
③ 開放性:新しい経験や深い精神理解に幅広く開かれている
④ 調和性:他者に対して共感的協調的にふるまう
⑤ 誠実性:規律や秩序を守り慎重に行動する
●メタ分析の結果、「心理学的well-being」については、①~⑤のすべてにおいて、その傾向が高いほど(①のみ、低いほど)well-beingが良好であることが示された。一方で「主観的 well-being」では、主に①と②のみが関連するということが示された。つまり、情緒が安定していて、他者や世界に積極的に関心を持って行動していくという、いわゆる社会的に「望ましい」性格の人が、もっとも主観的幸福感が高くなりやすいということが示された。
幸福と性格は「関係する」ようだ。
▶️ 神経症傾向が低く、外向性・開放性・調和性・誠実性が高いと、心理学的well-beingが良好。
▶️ 神経症傾向が低く、外向性が高いと、主観的well-beingが良好。
▶️ 神経症傾向と外向性は、心理学的well-beingにも主観的well-beingにも関連する。
当たり前といえば、当たり前なような気がする。
情緒が安定していて、外向性が高く、新しいことに積極的で、調和性が高い、そして誠実。こういうパーソナリティを持ち合わせていれば、それはwell-beingも良好になると思う。
なぜなら、幸せの発生確率(幸せを経験するチャンス)に必然的に恵まれるだろうから。単純に考えて、例えば、外向性が低いよりも、外向性が高い方が幸せを経験するチャンスが多くなりそう。
さらに、幸せを感じる力(幸福感受性)にも必然的に恵まれていそう。これも単純に考えて、情緒が不安定であるよりも、安定している方が幸せを感じやすくなるだろうから。
でもこのままシンプルにまとめてよいのだろうか?よくない気がした。
「幸福と性格は関係する!神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性がwell-beingに影響する。だから、みんな、神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性を意識・改善しよう!そしたらwell-beingも良好になるから!」
いくら勢い余っても、このまとめはさすがにシンプルすぎる。もう少し掘り下げて考えてみないといけない気がした。
なぜなら、「出木杉君は幸せで、のび太は幸せではない。」がピンとこないから。気持ちが不安定で、すぐに泣いてしまうのび太だが、出木杉君とは違う場面でたくさんの幸福を感じているはず。
さらに、「のび太、神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性を意識・改善しよう!そしたらwell-beingも良好になるから!」もピンとこない。
「のび太、性格ちょっと変えよう!自分を変えよう!そしたらwell-beingも良好になるから!」と言ってるのとほとんど同じだと思うが、やはり違和感がある。のび太が今の性格だからこそ、出木杉君では経験できない「のび太にとっての幸せ」があるはずだ。
どうやらこの辺の違和感が、僕のモヤモヤの原因のようだ。あのシンプルなまとめに素直に賛同できない理由のようだ。
「幸福は捉え方次第だ」とか「ネガティブ思考では幸せになれない」といった声があるけれど、幸せになるために、その人が「自分を変える」「性格を変える」というのは、ちょっと違うのではないか。この考えを僕の中の文脈に加えてみた。
そしたら、少し視界が晴れた。「幸福と性格の関係」について、僕なりの整理とまとめ。
▶️ 確かに、性格は幸福に影響をもたらす。
▶️ しかし、ぞれぞれの性格には、それぞれの幸福が紐づいているので、
▶️ 性格を比べたり、幸福の質や量を比べるのはちょっと違う。
▶️ だから、幸せになるために「自分を変える、性格を変える」というもちょっと違う。
▶️ 性格それぞれの多種多様な幸せがあるということを認識しておきたい。
これらを新たな補助線(=理解を広げるためのTips)として、明日から早速展開してみようと思う。
会社で、少しでも幸福概念の理解が広がることを願って。
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