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あの頃、ゆとりだった僕へ。

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とりとめもないエッセイ集です。「事実は小説よりも奇なり」の言葉どおり、フィクションより面白いエッセイになれば。がんばれ、自分。
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2020年7月の記事一覧

LINEの部屋で、犬が死んだ日

忘れもしない、暑い夏の日だった。 クーラーをかけず寝苦しさで目が覚めたのか、LINEの通知で…

torutoru
4年前
111

『女性の本棚』と「僕」の男女心理における代理戦争

大きい書店に行くと、『文芸』や『教養』、『人文』といった棚と並んで、『女性の本棚』という…

torutoru
4年前
74

これまでの人生のあらすじ

人生のあらすじが書けない。 あらすじは漢字で書くと粗筋と書くのだろうか。荒筋と書くのだろ…

torutoru
4年前
84

こどものころから、なんもかわってない。

こどものころから、なんもかわってない。 という言葉をよく耳にする。 たしかに、あの頃イメ…

torutoru
4年前
67

「相手に合わせて打ち返す」返信作業

LINEの文章がやけに長い人がいる。 LINEの文章がやけに短い人がいる。 LINEの返信がやけに早…

torutoru
4年前
58

幸せの138ページ目

「幸せについて本気出して考えてみた」というポルノグラフィティの曲が昔あった。 幸せの定義…

torutoru
4年前
57

有象無象の隣合わせ

没入と、隣合わせる。 電車で右隣に座った人が、何やら分厚い単行本の小説を読んでいる。 シャーペンで文字を追いながら丁寧に読み進める姿に、熱心な読書家の印象を受けた。 「何を読んでいるのだろう」と思うが、そこまではわからない。 ただ、一文一文の情報から一語たりとも逃すまいという志、得られた情報をスッと吸収して自分に落とし込もうとする姿勢、静かでささやかな感動に触れようとしている眼差しは、完全に世界に入り込んでいた。 恋愛の世界かミステリーの世界か、はたまた純文学の世界か短編の

運命のあみだくじを辿って

生きていると、あらゆる選択を求められる。 二択、三択、四択、五択… 定食屋で五つのランチ…

torutoru
4年前
32

「どう思われてるか」の心理攻防戦

たまに大声で独り言を話す人を見掛けると、「ヤバい人だ…」「近寄らないようにしよ…」と内心…

torutoru
4年前
43

最後は結婚式で終わらせないでほしい

残り時間、12分。僕は心の中で祈る。 どうか、監督、おねがいしますっ…! ラブコメや恋愛系…

torutoru
4年前
54

家に帰らず、我に返る。

帰り道、ふと思う。 一つのことに熱中できる人って、ホントに尊敬する。 仕事でも、趣味でも…

torutoru
4年前
66

ダメだ、やっぱり家族のことは書けない。

これまでさまざまなテーマでエッセイを書いてきたが、ほとんど触れてこなかったテーマが二つあ…

torutoru
4年前
54

『会社』という舞台

一歩、会社に足を踏み入れると演技が始まる。 月曜日の朝、「おはようございます」が、その合…

torutoru
4年前
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虚構の大冒険

この世界は、虚構だらけだ。 会社終わり、電車に揺られながらいつもの景色を眺める。 高すぎるマンション、安そうなアパート、ありふれた一軒家、不味そうな中華料理店、光るネオンライトの看板。 流れる景色は実際に目に見えているはずなのに、なんだか虚構の世界に思えてくる。 この建物たちは、本当に存在しているのか。中は空っぽで、ただの張りぼてなんじゃないか。人が住んでいるはずの世界が、虚構の世界に見えてくる。 どの家にも洗濯物はぶら下がっていない。 駅に止まる。 大勢の人が波のよ