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「相手に合わせて打ち返す」返信作業


LINEの文章がやけに長い人がいる。
LINEの文章がやけに短い人がいる。

LINEの返信がやけに早い人がいる。
LINEの返信がやけに遅い人がいる。

LINEの絵文字がやけに多い人がいる。
LINEの絵文字がやけに少ない人がいる。


相手が打ってきたボールを、そのスピードで、相手が打ちやすいように返す自分がいる。
長いときは長く、早いときは早く、多いときは多く。

なぜかLINEのトーク画面を相手のホームだと思い込んで、アウェイの僕は、「そちらのやり方に則りますよ」とへり下り、そのルールに従う。
いや、ルールなんてないのだけれど、誰もそうしろなんて言っていないのだけれど。


特に、女の子とLINE交換して、相手がどんなスタイルで打ってくるか気になる。


「あ、そういう感じで絵文字使うんすか」
「話してたときと変わらず、礼儀正しいなあ」
「文面だと意外とそっけない。。」
「スタンプのセンス。。かわいい。。」

必死にそのスタイルでラリーを打ち返さねば…と躍起になる。
ボールに追いつこうと、僕も同じフィールドで、同じくらいのレベルで相対してますよ、と言わんばかりに。


返信の時間が遅い女の子に対しては、なるべく早く返さないようにしないと。
「こいつ、返信はやすぎ、暇なんか」と無言の圧力がかけられている気がする。
だから、気付いていてもわざと時間を空けて返信するときがある。
でも、やっぱり早く返したい気持ちもあるから、早すぎず遅すぎずの時間を調節する。
今は迷惑じゃないか、LINEを見そうか、心地良い時間帯か、相手サイドから見て絶妙な時間に返せてるかどうか。
返信スピードに関しては難しい。
なかなか相手の予測ができないので、常に注視していないといけない。


相手が絵文字を全く使わないのに、僕がぴえん絵文字を頻繁に使ってたらすごく気持ち悪い。
「こいつ、これがかわいいと思ってるんか」と無言のスタンプが押されているようで泣きそうになる。ぴえん。


文量も長すぎると、「こいつ、ポエマーやん」と無言の声が聞こえてきそうだ。
2行は2行で返し、5行は5行で返し、10行は10行相当で返し。
相手がめちゃくちゃ真面目な文章を18行くらいの文量で送ってきて、「了解!すみません!」と1行で返信する勇気はない。
なんとなく、それ相応の文章で返さないと、誠意が伝わらないと思ってしまう。


「了解」するときも、悩む。
「りょうかい」や「りょーかい」や「りょ」や「おっけ」や「おけ」や「おけい」や。
「うす」や「おす」や「うえーい」や「えい」や。
それだけで悩むし、悩みすぎるとそれはそれで時間がかかり返信が遅れてしまう。
そろそろ国が統一して、「了解」の基本方針を制定してほしい。
それ以外を使ったらダメだと言ってほしい。

相手に合わせて打ち返すだけで、無駄な神経と時間を要する。


こんなことを考えるのは僕だけなのかもしれないし、考えすぎなのかもしれない。
毎回毎回、わざわざわざわざ、こんなしょーもない悩みをするのも時間の無駄である。

それでも、僕は相手に合わせてサーブを打ち返す。それが相手にとって心地良いと信じ、相手にとって返しやすいと願って。

あんまり手の内を知られると恥ずかしいのだが、毎回の返信作業は相手の打ちやすいところへサーブを打ち返したい。
相手に対しての色んな思いを込めた結果の、文量と、速度と、絵文字の量なのだ。




ただ、相手からボールが返ってこないことがほとんどなので、僕も返しようがないのだが。



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