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ダメだ、やっぱり家族のことは書けない。


これまでさまざまなテーマでエッセイを書いてきたが、ほとんど触れてこなかったテーマが二つある。


それが、恋愛と家族について。


恋愛は、28の男の恋愛観なんて誰も興味ないだろうと思ってしまっているのと、それでも書きたいけどなんだかんだ少し恥ずかしいのと、いろんな葛藤の狭間にいて踏み込めないでいる。
でも、いつかは書きたいと思っているし、書き出したらいくらでも書けそうな気はしている。

もう一つの家族は、以前「人生のオープニングテーマ」というエッセイで少し触れたものの、がっつり一つのテーマで家族を取り扱ったことはない。







なぜか。







多分、泣いちゃうからです。







いろんな信念やポリシーが入り混じった複雑な理由でなくてすみません。
家族への配慮とか、自分の成長の枷とか、それっぽい言い訳でなくてすみません。
物書きとしてのプライドを宿した、カッコいい文章論でなくてすみません。


ただ、単純に、泣いちゃうからです。

この前のですら、ヤバかったですもん。
ただの想像でしかないのに、家族の顔が浮かんで、それだけでウルッときた。


気軽に実家に帰れない今だからこそ、文章にしようと思ったけど、ダメだ。

僕の家族は、普通の四人家族だ。
いろいろあったけれど、父と母と兄と、元気に暮らしている。
今は僕も一人暮らし、兄も結婚して、両親は実家に二人だ。
いろいろあったけれど、ここまで何とか生きてこれたのは紛れもなく家族のおかげだ。
この「いろいろ」を紐解くのが大変なのである。


キツい紐を、少し緩める。ほんの少しだけ。


正直、幼少の頃はほぼ記憶にない。
近くの幼稚園で、とにかく元気に走り回っていた気がする。
一年中短パンで、幼稚園の隣の公園で遊びまくっていた気がする。
中でも一番覚えているのは、運動会とサッカーの試合。

少し大きくなってから、画質が良くないビデオ映像を見た。
当時は足が速く、その長所が最大限に活かせるのが前述の二つだった。
汚いカセットテープには、僕の名前と年とタイトルが綺麗な文字で書かれていた。

そこに映るのは、速く、小さい自分。
周りを置き去りにして、真っ先にゴールテープを切る自分。
スルスルとデフェンスをすり抜け、メッシのようにゴールする自分。



それを応援する、家族の声。
声を張り上げて名前を叫び、喜ぶ両親。
映像には映らないけれど、それは家族のビデオだった。

はい、もうダメです。
やっぱり、これ以上は無理です。
感情、ゆるい。涙腺、ガバガバ。
でも、もう少しだけ、頑張ります。


今思うと、ずっと応援してくれていた。
中学のバスケの試合、高校受験、大学受験、就活、もちろん、それ以外も。
甘やかされていたと言っても過言ではない。
そこまで厳しくない家庭だったのも事実だ。
何も心配することなく、帰る家があった。


それが、幸せだった。

深すぎる愛情ではないし、その逆でもない。
掛けられた言葉も、アドバイスや叱咤もない。
特筆するエピソードでもない。
でも、思い起こすと改めて身に染みることがある。



あのビデオの声は、家族でしか出せない声だったことを。



やっぱりダメです。
もうこれくらいにしときます。
いい音楽を聴きながら書くと、余計にダメです。

こんな文章を読んでくれてありがとうございました。いつもよりも文量が少ないのは、許してください。
いつか家族に見せたいという気持ちもあったけれど、まだやめときます。
照れくさいし、こんなんで泣いちゃう子供だから。


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