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#27 『上流過多』

2024年1月某日

地方のビジネス界隈でも、いわゆる「デキる人」の層が厚みを増しているような気がする。「デキる人」の多くは、論理的思考やマーケティング分野についてよく学んでいて、いわゆるコンサルタントのような雰囲気を纏っている人が多い。まちづくりに関わる大学生などにも、この特徴が見られることも少なくない。

さて、「デキる人」が地域ビジネスの文脈に関わっていただくことは喜ばしいことであるが、個別のケースでは同時に少し困った状況も生まれている。「デキる人」の皆が「上流工程」を志向しすぎていることである。具体的には、「戦略立案」「コンセプト設計」などの仕事は関わりたいと志向する一方で、実際に取り組みを実装する領域となると「それは、当事者がやることでしょう」と腰が引けてしまうことがある(あなたは当事者ではないのか、と言ってしまいたくなるのだが)。

このことは、無責任な企画提案を乱立しかねない点で、少し注意が必要だと感じている。特に、「SNSを用いてインフルエンサーマーケティングをすべき!」とか「いますぐエリア全体を特区にして、実証実験フィールドにすべき!」とか、一理あるかもしれないが(なお、世の中に一理もない事などない)、どうやって現実にしていくかについて「それは、当事者がやることでしょう」と丸投げ状態にしてしまう。「言いっぱなし状態」は減らしたほうがよいと思う。

筆者としては、適切な企画提案とは、取り組みの「範囲」だけでなく、成果に至る「時間の奥行き」までセットでデザインしながら、小さく生み出し・大きく育てることが必要だと考えている。着眼大局、着手小局というやつである。ここまでがセットで「上流工程」であるのだと思う。

泥臭い実務にしつこく取り組むことは面倒だから「上流工程がやりたいです」が通用してはいけない。それでは「デキる人」の定義が、「能力が高い人」と一致しないことを意味し、揶揄の表現になりかねない。筆者は、しっかり手を動かして、モノゴトを具体的に進めていける人が好きだ。さらに、志を持って、前向きに泥にまみれる人はもっと好きだ。地域活性化とは、そんな人が増える先にあるのだと思う。今年もよろしくおねがいします。

ほなら。

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