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#20 『充て職』の呪い

2023年7月某日

地方をフィールドに、活性化の仕事に携わっていると、何かと『とある会議体に有識者として参加して欲しい』とか、『地元の大学で、講座をひとつ持って欲しい』という類の依頼に直面する。そして、その手の声がかかるのは、概ね地元の『定番企業』の『定番役職』の人だったりするわけで、結果として、どの会議体であっても顔ぶれは大体同じという状況が出来上がる。

筆者としては、地域の議論には、つねに『新鮮な視点』をとりこむ方法を考えることが大切だと思っている。それは、単に『ワカモノ』みたいな人を、むりくた会議体に召集するとかいう話ではなくて、どちらかというと固着化してしまった『既存の人選方法』を緩やかに壊していくアプローチの重要性を主張している。

具体的には、『充て職』の廃止である。『充て職』とは、地域の有力企業(金融、インフラ、コンサル、大学等)の企画や調査セクションの部長職などが、自動的に有識者などに選抜されるしくみで、当人が誰で、どんな能力を持っているかは関係なく、自動的に引き継がれるものである。実のところ、充て職を引き継いだ人は、『○○委員』とか『○○非常勤講師』という肩書きが無条件でもらえたりして、ちょっと誇らしく思っている人も少なくない。時に、当該役職に気持ちよくなり過ぎてしまい、異動後や退職後も『充て職』を自分のものにしようと画策する輩も現れ、見苦しい。

筆者は、『充て職』を前提に地域の方向性を議論したとて、あまり新鮮なアイデアは出てこないと感じている。なぜなら、『充て職』同士で議論する場面は、『企業対企業』のお付き合い場面でしかなく、検討の単位が大き過ぎて、抽象度の高いものに帰着すると考えられるためである。今後、『人選する側』の人は、今一度『能力や適正』を吟味して、適切な人を探す努力をしなければならない。『○○大企業○○部長』の名刺が価値を持つ時代は終わりつつある。令和を生きよう。

ほなら。

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