なぜ、まだタイムマシンはないのか?


 はーい、テツガク肯定です。

 遠い昔、遥か彼方の今で、私はこんなことを思いました。

 いつになったら 

 タイムマシンを使えるの?


 その先でも、『理論上はタイムマシンはつくれる』とか『未来人がいても不思議ではない』など。
 そういう話題を目にするたび、いつも結論は。

 で、けっきょく、タイムマシンは?

 という意見を目にしてきました。
 一時期は、タイムマシンなんかないんだろう、と。
 そう結論づけをしたりもしましたが。

 最近、私の中で時間の考えが変わりました。
 ブログや『インターステラー』の感想で話した通り。

 今の私にとって。
 流れる時間というのは信じ難い概念になりました。


 今までのタイムマシンというのは。
 『ドラえもん』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような。
 流れる時間、あるいは流れる時空を自由自在に進む、夢のマシン。
 それがタイムマシンという具合に描かれていたと思います。

 ですが、その前提となる。
 流れる時間が存在しないとしたら……。
 その川を渡る船が今もないのは当然です。

 つくりようがありません。
 浮かぶはずの時空って水面がないのに。
 スクリュー、あるいは風の力で進む船など。


 時間が幻だからタイムマシンはない。

 もちろん、そういう話ではありません。
 むしろ、もっと身近で、後ろからブラインドアタックで迫る。
 めちゃ速な最速神話のデロリアン……。
 ではなく、秋名の覇者ハチロクかもしれません。


 今、愚者の私が思うに。
 この世の全ては『IT』なんだと思います。
 スティーヴンキングさんのあの『IT』です。

 排水溝に潜む踊るピエロのペニーワイズ。
 必需品を教え説く、賢い商人、悪霊紳士のリーランド・ゴーント。
 人を呑み込んで逃がさない、オーバールック・ホテル。

 この世界は新鮮な空気のホスピス

 そう言った、ダニー・トランスさんの台詞は。
 こう言い換えることができます。

 この世はただのピエロですよ。

 ペニーワイズもリーランド・ゴーントもオーバールック・ホテルも。
 全ての恐怖はITの認識です。

 例えば、タイムマシンもそうです。
 タイムマシンは流れる時空を旅できる夢のマシン。
 そういうITの認識。

 もしかしたら、このまま進み続けたら。
 本当の本当に流れる時空を旅できる。
 そういう夢のマシンがつくられるのかもしれませんが。

 私はそこまで大人らしく賢く待てません。
 そして、愚かなことに気づきました。

 今、この瞬間が。
 タイムマシンだったとしたら……?

 明日へは行けると信じていて。
 昨日へは戻れないと信じている。

 だけど、本当はどこへも抜け出していない。
 いつも同じ、今日、今、この瞬間だけど。
 それを待ち焦がれた明日だと信じていて。
 そう認識しているから、未来へ近づいた気がする。

 もし、うっかり昨日へ戻れたとして。
 それを証明してくれる誰かがいなければ。
 おそらく、それは勘違いの夢だと忘れてしまうでしょう。
 今まで忘れてきた、昨日同様に。

 そして、タイムマシンの認識も。
 教え説かれたものとは違うからと。
 既に、今、この瞬間がタイムマシンだなんて考え方も。
 間違っている、と誰も信じないでしょう。

 ホントの話をしても
 信じないと思ったら言うだろうな

 キャップ・ジャック・スパロウさんの台詞が過ります。

 もし、目の前にのさばる、その全てがただの認識で。
 右に回るバレリーナだと思っていたら、それが突然左に回り始める。
 そんな天動説が地動説にひっくり返るようなことが。
 いつだって、誰にだってできるとしたら?

 ITは絶対的に見えて、かなり曖昧なもの。
 それが、この世って忌々しいペニーワイズ。
 その心臓のような気がします。


 今までが、決めつけとか思い込みとか刷り込みとか洗脳……。
 そう言った面倒な話ではありません。
 誰にだって、簡単にその認識は変えられるのですが。
 今まで積み重ねてきた習慣が、ほんの少しだけ強い。

 そうです、もっと身近で。
 難しい法則とか計算式なしで。
 誰だって直感的に飛べる……何にも頼らずに。
 もちろん、死という翼も使わずに。


 私は昔、科学を胡散臭く感じていました。
 今ならその理由がわかります。
 本当は、誰だってわかりきっている身近な超常現象を。
 超・回りくどく、特別で遠い存在だと教え説く、その態度が胡散臭かったんだと思います。


 その気になれば。
 誰だって偉大なるダントンさんのように。
 法則をシカトした、掟破りのイカロス渡り。

 ただ、そんなことをされては。
 困ってしまう、孤独のスターダスト。
 人を惑わす星屑があるだけで。

 そういうスターダストが浮かぶ。
 態度だけ大きく、器の小さな狭いブラック・ワールドがある。

 その器の小さな狭い夜に我を任せるな。
 忘れろ、忘れろ、忘れろ!
 ゲンジツは想像に及ばず、人は想像を超える。

 今までのタイムマシンよりも。
 もっと身近で、誰にだって使える。
 そういう魔法は人の中にあります。

 その希望で、あのペニーワイズをピエロに帰してあげましょう。
 ただのクソ・ピエロです。
 臆病者のか弱い独裁者、ただのピエロだ。

 信じて愚かに忘れるか、信じて賢く諦めるか。



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。








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