タクシーアプリ『GO』での新規事業開発におけるデザイナーの立ち回り方
こんにちは、タクシーアプリ『GO』 でプロダクトデザイナー(UXやUIを担当)をしております、大西です。
💡これは何?
プロジェクトメンバーが少ない中で新規事業を取り組む際、デザイナーとして何をどう進めて、どうアウトプットを出していったのかの立ち回りをまとめた記事です。
対象読者
新規事業に参画中、または参画予定のデザイナーや事業責任者、またはGO株式会社や、タクシーアプリ『GO』 のプロダクト開発フローに興味をお持ちの方など。
なぜ、書くか
◼️制作プロセス開示のため
今回の取り組みは、会社として注力していきたい事業である一方、新規事業のためプロジェクトに参加しているメンバーが少なく、関わっていない方から見ると、事業方針やUXなどがどういう根拠や意思決定があって今があるのかが、ブラックボックス化されていました。(と感じました。)※プロセスのアウトプット自体少なかったのかもしれません。個人の解釈を含む。
ですので、プロセスを開示することで事業を咀嚼していただいたり、そこから飛躍・改善できるアイディアが生まれる機会になれば幸いです。
◼️デザイナーの立ち回りの一例として紹介のため
主な初期メンバーは、ビジネス、デザイナー、リサーチャーであり、この組み合わせの中でデザイナーがどう介入すると事業の成功確率アップに寄与できるのか(するかもしれない)という一例になればと思います。
結論、どうやったか
1️⃣事業をなぜやるのか言語・可視化
2️⃣ドメイン知識の習得
3️⃣顧客体験の解像度をあげて課題規模を認識
4️⃣解決策を作成
1️⃣事業をなぜやるのか言語・可視化(スタート)
実は、私が事業に参画した際、すでに課題に対する解決策は提示されておりました(このパターンは多いのではないでしょうか)。その背景の上で私がやったことは、目的と解決策を結びつけることです。
◼️なぜやったか?
1つめ:立ち返る場所を作るため
事業をさらに先へ進める上で壁が立ちはだかった際、立ち返る場所が必ず必要であるし、新しくプロジェクトに参入される方のためになぜやるかの言語化は過去の経験上mustだと思いました。
2つめ:自身の腹落ちのため
入社間もないこともあり、事業の将来像が見えておらずどこを目指していて、どこからのバックキャストがこの解決策で、現在地はどこで、などなど不明瞭な点が多々あったためです。(※立ち返る場所と言っときながら2つめが本命だったりします)
◼️どうやったか?
社内で展開された関連資料を集める、関連ミーティングの録画をみて情報を吸い上げる(※弊社ではミーティングは録画がされている場合が多くあとで振り返りができます)、弊社会長や取締役などから1次情報を聞く(※機会は作る必要があります)、市場環境を調査、など行いました。
2️⃣ドメイン知識の習得
(実際は、上記1️⃣と2️⃣を行き来しながらですが)目的の納得感や事業の歴史、取り巻く環境など多角的に見ることで自身の中で新たな問いが生まれ、その問いを紡いでいくことでより課題の解像度があがると思っていて、そのための手段として以下のような調査を行い、可視化手段としてリーンキャンバスなどを作成しました。
個人的には、一次情報を得ることを大事にしています。
理由の1つは、認識齟齬の解決です。
例えばまとめられた資料は、誰かが誰かに伝達しやすいようにまとめたものであって、その人の個性だったりフィルターが入るので、ある種又聞きのような状態であり、前後関係などが抜け落ちているとことが多々あるので、この行動が解決策の1つになると思っています。
もう1つは、偶発的に得られる何かがあるからです。
目の前にあるものに対して感じることや問いは、自分が今持っている引き出しの中からしか出てこないですが、実際に体験することで偶発的に得られたことから視野の広がりや視座があがり新たな問いが生まれ、その問いを解くことでさらにモノの解像度をあげることができると思っています。
3️⃣顧客体験の解像度をあげて課題規模を認識
顧客を知り、顧客体験の解像度をあげることで見える課題、そして課題の規模感を認識するために顧客の言語化・可視化します。
主な作成手順としては以下を目指します。
1. ペルソナを作成
2. ユーザーシナリオを作成
3. カスタマージャーニーマップの作成
🍜ポイント
画像などで補足で加えると、なお認識の擦り合わせができるのでおすすめです。たとえば居住地このあたり、住んでる賃貸アパートは〇〇円、間取りは1LDKで中はこんな感じ。のように
4️⃣解決策を作成(ゴール)
主な作成手順としては以下を目指します。
1. 解決策を文章化
2. 簡易画面と簡易画面フローを作成
3. UI・プロトタイプを作成
解決策としてUIをすぐ起こすのではなく、なるべく文章で起こしてみます。
可視化されたものは人間にとって、印象をひっぱられやすいので、まずは文章化することでバイアスをかかりずらくしたり、認識の擦り合わせができます。
🍜ポイント
(状況にもよりますが)内容は箇条書きではなく、文章で繋いで書くことをおすすめします。箇条書きは間の繋がりがないので、出し手と受け手で認識齟齬が起きる可能性があるからです。
なぜ、このフローで作ったか
(前提、ここまでのフローで生み出された産物は、チームで何度も議論したり、共有しています。)
◼️質の良い解決策を作るため
解決できる規模とは、課題の規模とイコールだと思っていて、どれだけインパクトがある大きな課題が見つけられるかどうかが解決策に直結すると思っています。
課題が見つけられれば、あとはデザイナーや取り巻くメンバーの引き出し次第であり、このフローを通ることで結果的に、あったらよいものではなく、なくてはいけないものにおのずとアウトプットが絞れるかなと思っています。
◼️UXはチーム全員でつくるものであるため
UXはデザイナーだけに任せるような規模のようなものではないと思っていて、このフローを通ることでチーム全員でUXを考えることができます。
実際には、議論が活発になったり、多くのアイディアをいただくことがあります。
やってみての学び
今回の作成フロー自体は特殊なものではありませんが、今回のプロジェクト、弊社、チームに当てはめてみた学びは以下でした。
👀UIを作る前:
中途半端に具体的なものだと議論がミクロなる
議論を前に進めやすくするには、ビジュアルがあるとより進みやすいですが、一方で人間は目に見えるものに意見が引っ張られやすくなるので、フェーズ的にもうちょっとマクロな議論がしたいのであれば、簡易的なビジュアルで作成して擦り合わせしたり、議論の場の作り方が重要です。
👀UIを作る最中:
プロトタイプは実態にどれだけ近づけられるかが肝
「想像してください」の難易度は想像以上に高く個人で異なるので、UXを正しく認識・理解・作成するには、例えば地図や、時間、画面のトランジションのアニメーションなど、プロトタイプがどれだけ実態に即しているかが重要です。
プロダクトを作っていく上でのマインド
本取り組みは、人によっては1デザイナーの領域を超えていると感じる方もいるかもしれません。ただ、立場を変えること(視座)で見えることが異なるし、行動が変わると思っています。それが越境なのかどうかは個人の解釈によりますし、時間は有限なのですが、やらない範囲を自分で先に決めずに取り組むことが、結果としてプロダクト、事業、会社の成功確率・成長角度をあげることに少しでも寄与できるのではないでしょうか。
※タイトルはChatGPTに考えてもらいました🙌
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