【男女の「賃金格差」は「評価格差」なことと、「特権」について】
『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』のクラウディア・ゴールディンさんがノーベル経済学賞を受賞したこともあり、2024年の国際女性デーは「男女の賃金格差」が取り上げられることが多少は増えたかに思います。
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「女性の年収、20代後半から全産業で男性下回る」(朝日新聞)という暗澹たる(ただみんな感じていた)情報もありますが、「賃金格差」の基盤となっている「評価格差」を解消していかないと、いつまでたっても是正は進まないはず。もちろん本質的には、ジェンダー格差前提の社会システム(家父長制)からの脱却が必要ですけど。
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同じ実績を残しても、男性なら「有能で将来性がある」「リーダーシップがある」などと好意的に評価されて賃金も上がるのに反して、女性なら「でしゃばりだ」「自己喧伝がすぎる」「わきまえない」「会議で話しが長い」などと言われて(最後のは、わかりますね)評価をされず、昇進もせず賃金も上がらず、というのは世界中どこでもあることで、日本でも今この瞬間も各地でおこっています。
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女性役員の採用に関わっていますけど、「この人が役員として実績を残せたのは良い社長・サポーターがいたからで、本人の実力じゃないのでは?」「この業界で活躍してきたなら相当アグレッシブだろうから経営陣の和を乱すのでは?」とか、男性だったら絶対ぜっったいに言われないよね!!な評価で拒絶された女性(ビジネスですごく経験豊富な方々)は多い。「評価格差」は新卒・新入社員から経営・役員クラスまで満遍なくあるのだと感じます。
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ここらへんのジェンダーバイアス(無意識バイアス)は小崎亜依子さんが翻訳された、ギンカ・トーゲルさんの『女性が管理職になったら読む本: 「キャリア」と「自分らしさ」を両立させる方法』がよくまとまっています。本の出版から8年経って、無意識バイアスブームがあっても、「評価格差」はいまだ健在。
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「評価格差」の解消のためには2つ。ベタな施策ですが。
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(1)「評価者」を変える
(2)「評価者」の意識や「評価」の仕組みを変える
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(1)は評価、意思決定層に女性を増やすってことですね。(2)はジェンダーバイアスを考慮した評価ができるように意識変革をしたり、バイアスのない評価ができるように仕組みづくりをする。
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でも無意識バイアスよりさらに踏み込んで、「特権」について認知しないと変わらないんだろうな、と思います。「男性特権」「マジョリティ―特権」について。
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自分がいかにフェアに他者を関わったり、評価したりしているつもりでも、「特権」がある側から見えているものと、「特権」がない側から見えているものは、大きく違う。それを認識しないとフェアはない。
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2024年の国際女性デーは、DEI流行りの最中のため「E(エクイティ)」が大事!みたいな発信もちらほらありました。でもE!E!と言っていても、「特権」はどこにあるのか、どれだけ私たちが気づかないで「特権」を享受しているのか、を自分自身に問わないでは、「E(エクイティ)」の議論はできないでしょう。
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「マジョリティ―特権」とエクイティについてのセミナーなど、昨年は数回行いましたが、また開催していこうかな、、。そのことと、女性役員が増えて活躍していくことはリンクしているし、結果として「評価格差」が解消し、「賃金格差」が是正される道につながるはず。
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などと思う国際女性デーでした。写真は株式会社Warisの女性役員採用サービス「Warisエグゼクティブ」チーム。ジェンダーバランスこんな感じです。「評価格差」は感じません。