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マイル付き外貨定期預金は得なの??【ミドルシニアの資産運用】

ミドルシニアのみなさん、ごきげんよう。
さて、こんなメールが来ました。

「日本円より高い金利で、しかもマイルもたまる。うまくいけばプレステもあたる」なんて考えている人、まさかいませんよね。だって…

資産運用での外貨預金はダメ、絶対!銀行のカモになる!

これが唯一最大の理由です。え、マイル?そんなの、言うほどたくさん付与されません。というより、利息の目くらましと思った方がよいでしょう。

この商品はANAとソニー銀行がタッグを組んでいます。ちなみにワタクシ、ANA大好きです(上級会員)。ソニー銀行も日常的に利用しています(普段使いには便利)。それでもこの商品はダメでしょう(ソニー銀行は戦略として外貨推しなのですよね。その話はまた別途)。

そのダメポイントを説明しますね。


当たり前の話をします


ごく当たり前の話から。この写真をご覧ください。

(「円からはじめる限定金利」の場合。2022年3月2日適用中)

利率だけみたら、そりゃー外貨で預けたくもなります。
ただし、当たり前ですが為替リスクがあります。為替が上がるか下がるか(円高か円安か)で儲かったり損したりします。でも、いつどのように上下するか(世界情勢や政策面で推測できる材料はありますがプロだって難しいのです)誰にもわかりません。これと金利をセットで考えると、どの通貨が得かなんてわかりっこないんです。

さらに、例えば南アランドの年30%はすごいですが、当然さまざまなリスクがある、リスクを承知で入金してくれるから利率を高くしているというのは言うまでもありません。

お金が有り余っている人は止めません。でも資産運用と点で見ると、外貨はやめましょう。

「そんなことわかってる!マイルがつくのはいいじゃないか!」というアナタ。それではシミュレーションしてみましょうか。

マイルと利息を見てみたら……



通貨:米ドル  預入期間:1年  預入金額:100万円
日本円から米ドルへのレート:115.41円
米ドルから日本円へのレート:115.11円
 ※両レートは執筆時点:2022年3月2日19時25分現在
利息への税率:20.32%

ケース①マイル付き外貨定期預金(金利0.01%)

サイト:auじぶん銀行(計算面倒なので他社のシミュレーションサイトを使いました)

このレートでは満期時受け取りを日本円で計算するとマイナスになります。それをマイルが補っている感じでしょうか。

預入の日本円100万円を115.41円で計算すると8664.76ドル。米ドル1年ものでは「100ドルにつき20マイル」なので、1720マイル程度となります。

ケース②通常の外貨預金=外貨普通預金から預け入れる場合=
(金利0.40%)

このレートでもこの定期ならプラスになるということですね。

ただし、面倒なのは、「外貨をすでに普通預金に入れていて、そこから定期にする」という点。ソニー銀行は日本円から外貨に換えて定期を作る場合、特別金利のプランを作っています。ただし1カ月。この辺、ビジネス上いろいろあるわけですが、とりあえず「普通の外貨定期」ということでお考えください。

両方のシミュレーションをまとめると

満期時の日本円金額
マイル付き外貨定期     997479円+1720マイル
通常の外貨定期預金      1000579円
差額            マイナス3100円+1720マイル

つまり、1720マイルを手に入れるためにあきらめた金額が、3100円という見方も可能です。1マイルあたり1.8円程度です。さて、これをどう判断したらよいでしょうか。

資産運用なら見送り、裕福マイラーなら一考?


最初に書いた通り、資産運用の一つとしては選択肢にしないのがマルです。どうしてもというなら為替リスクを考えなくてもいい使い方をするべきでしょう。たとえば海外で使う予定の外貨を預け、海外で買い物をする際にソニー銀行のデビットカードで直接支払うことが考えられます。

一方、日常生活でマイルを貯めて旅行に生かしたいという人はたくさんいます。そんな人には悪くはないかも・・・という程度です。お金を預けることで勝手にマイルが生まれるわけですからね。

とはいえ、これ一本で無料旅行にいけるくらいマイルを貯めようとすると、100万円くらいでは全然たりません。ANAのマイルを特典航空券に引き換える場合、最低でも5000マイル必要です。シミュレーションしたレートですと300万円程度です。長距離路線、例えば東京‐那覇なら7000~10500マイル(時期によって変動)、東京‐ハワイなら35000~43000マイル必要(同、エコノミークラス)なので、預入額は推して知るべしです。

余剰資金が十分にあるマイラーの方で、為替リスクを許容できる人であれば、定期預金の選択肢になる可能性はあるでしょう。

為替手数料

ただ、繰り返しますが、本来の「資産を増やす」という目的であればやはりお勧めしません。為替リスクのほか、為替手数料の問題もあります。ソニー銀行は外貨から日本円に換える場合、あるいはその逆の場合、それぞれ1通貨15銭かかります。1000ドルなら150円です。大したことはないと思うでしょう?でも利息で150円得ようと思ったらどれだけ大変かわかりますよね。

もっともソニー銀行をはじめとするネット銀行は為替手数料はメガバンクに比べればかなり安いです。大手銀行ですと1通貨1円、1000ドルで1000円取るケースも珍しくありません。今回のように100万円基準で考えると、米ドルに換える際、日本円に戻す際、それぞれ1万円近くかかる計算です。今回のシミュレーションには為替手数料も含まれています。

まとめ

ミドルシニアは資産運用の期間が若者に比べ限られます。若い時は失敗も火傷も経験ですが、虎の子の資金であれば火傷は厳禁。他の選択肢にいいものがたくさんありますからね。

追記

文中シミュレーションに使ったauじぶん銀行の計算式ですが、じぶん銀行は為替手数料25銭だったことに、いま気づきました💦。ソニー銀行は15銭なので実際の数値とは異なります。ただ、二つのシミュレーションとも同じ手数料で算出していますので、参考にはできると思います。


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