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挿絵付き小説サードアイ

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2024年5月の記事一覧

サードアイ ep 7 仲間割れ

サードアイ ep 7 仲間割れ

 男のサードアイがすでに開いてると知って、ブルーノはなめらかな自分の額をパチンと叩いた。
「あいや!間に合わなかったでやんすか。うまくはめ込んでおいたのに」といって、そのまま頭をかかえこむ。
「うまく適合しやすかね。アリフみたいにならなきゃいいんでやんすが」
「見た感じでは、おそらく問題ないと思うわ」
 すると、男が話に割り込んできた。
「おい、その、アリフってやつ、オレの額に何か貼り付けた老人か

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サードアイ ep 6 特殊任務

サードアイ ep 6 特殊任務

 人々が平和で安寧に暮らせる世界を私は心から望んでいる。春のうららかな太陽が寒さに凍える命を温めるように、人々の不安を溶かして活力を与えたい。そして、全ての人が夢に向かって輝いていけるのなら、火花を散らして突然落ちる線香花火がごとく、我が命を燃やし尽くしても構わないとも本気で思っている。
 しかし、多くの人は夢を語るどころか、うだうだと文句をいい、できない理由を並べ立て、あげくに邪念に惑ったりする

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サードアイ ep 5 額の封印

サードアイ ep 5 額の封印

 俺は元いたベッドの上に座らされ、五人に取り囲まれた。見回すと全員、風変わりなやつらばかりだった。三つ子なのか、全く同じ顔をしたモデルみたいな背の高い女たちが、同じポーズでにらみをきかせている。ちょっとでも下手な動きをしようものなら一瞬で封じられそうなオーラに、さすがにこっちも気圧される。
 その後ろには、ひらひらとした服でなよなよとしたやつが、女どもの影にかくれるようにして様子を見ていやがる。繊

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サードアイ ep4 額の手術

サードアイ ep4 額の手術

 気が付くと俺は硬いベッドの上だった。ウィーンという微かな機械音がする。ここはどこだ。起き上がろうとするも、身体が思うように動かない。向こうから話し声が聞こえる。二、三人くらいか。しばらく様子をみることにした。
「よくもまあ、こんな大物を一人で引き揚げてきやんしたね。ステファンにしては上出来、でさぁ」
「だって、レッドアイの持ち主だよ。野放しにしておくわけにはいかないよ」
「正確 には ファイヤー

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サードアイ ep3 額に指

サードアイ ep3 額に指

 公園のベンチまで男と連れ立ってきた。緊張からか、息が切れてしまい、変な汗をかいていた。できるだけ平静を装って男に声をかける。
「とにかく、ここに座ってください」
 男は怪訝そうな顔をしながらも、どすんと腰かけた。ボクが男を見おろす形となる。
「なんなんだよ、急にこんなところまで引っ張ってきやがって」
「すみません。ただ、ちょっと、そのおでこの傷が気になって」
「はぁ?でこの傷?」
「ええ、何だか

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