受験社会での暗記法~段階的に無理なく覚えていく方法~

社会が苦手という子の多くが、覚えることに苦手を感じていると思います。どう覚えればいいのか、どうすれば無理なく覚えられるのか?多くの人が知りたいであろう勉強法について私なりの方法を公開しようと思います。

(1)受験社会での覚えることの意義
 社会はよく暗記科目だと言われます。その理由は単純明快で、覚えていないと解けない問題がほとんどを占めると考えられているからでしょう。実際に、多くの入試では基礎的な知識を問われますし、特に難関私大などではその傾向は強く、細かな知識の再現性を求める問題が出題されています。
 一方で、2020年度から開始される大学入試共通テストは、社会でも読解力や思考力や情報処理などの暗記だけでは太刀打ちできない試験へ変化しようとしています。しかしながら、これらの試験であっても前提となる知識があってこその思考であり、読解であり、情報処理力が求められます。その意味で、今後も用語などの暗記、覚えること自体は依然として求められます。
 以上から考えても、今後も受験社会では必須です。

(2)社会で効率よく覚える段階的な勉強法
 さて、本題の社会で覚える勉強法について。私は重要だと思う点が5点あります。
・暗記より内容理解が先立つべき
・内容理解とはストーリーと全体像を掴むことである
・子どもは無知であり、無意識に理解するふりをする
・暗記用教材は、空欄補充系をしてから一問一答へ
・暗記用教材の答える形式は、選択肢問題をしてから適語補充へ
これについて、1つずつ説明していきます。

①暗記より内容理解が先立つべき
 当たり前の事なのですが、人は理解していない内容を覚えることはできません。ですが、受験業界を見ていると暗記を重視するあまり、キーワードの反射のような暗記をさせる指導を目にすることがあります。また、子ども自身が悪意なくわかった気になってとにかく暗記をすることもあります。これはこれで点数になることもあるんですが、はっきり言って効率が悪いです。そして、学年段階が上がるにつれて、レベルが上がるにつれて通用しなくなります。ごくごく当たり前のことですが、内容が理解できた上で暗記に入るべきです。

②内容理解とはストーリーと全体像を掴むことである
 内容の理解の大切さはわかったと思いますが、それをどう捉えさせるかといえばストーリーと全体像だと思います。まず、ストーリーから。
 ここでいうストーリーとは物事の因果関係だと思ってもらうといいと思います。地理ならば地形や立地と産業発達の因果関係、歴史なら事件とその背景、公民なら思想とルールのつながりなど、個々の知識を結びつけてわかる状態に持っていくことが重要だと思います。
 全体像に関しては、その単元では何がわかればいいのかを明示することだと思います。私は指導でタンスの棚だと言っています。個々の知識をどの棚に収めればいいのかができるように各単元での内容にラベリングとレベル分けをすることが大切だと思います。私の家庭教師の授業では、その棚作りの作業を一緒にやっています。

③子どもは無知であり、理解するふりをする
 これは家庭教師の指導中で特に感じることで、子どもはこちらが考えている数倍無知です。知っていて当たり前、大人が知っているかどうかすらも考えもしないことがわかっていなかったりします。例えば、江戸時代の農具の改良について、千歯こきについて触れたとき、過去にこんな疑問を投げかけられたことがあります。
・稲って何ですか?
・脱穀って何ですか?
・農具の改良してなんで生産量が上がるんですか?
・年貢って何ですか?
子どもは習うことは知らないことなので、わかっているかどうかすらも分かっていないことが多いです。特に苦手な子は。だから良い意味で子どもを疑ってかからないと理解の深度を上げることは難しいと思います。

④暗記用教材は、空欄補充系をしてから一問一答へ
 さて、ここからは暗記する段階についてのアドバイスについてです。
 社会の勉強は、理解する・覚える・問題を解く、の三段階があると思います。暗記教材はこのうち覚えることに特化したものになります。ですから、入試問題やそれを模した活用問題などのアウトプットを求めるものはここでは範疇にしていません。
 暗記用教材には空欄補充系と一問一答系があると思います。一般的に社会の暗記と言われると一問一答が思い浮かびますが、これは空欄補充系の後にすべきだと思います。空欄補充系は、文章なり地図なり図なりでストーリーの補助線が見える状態で知識の再現を求めます。ちゃんと内容理解が出来ている子ならこれを手がかりに答えることができると考えられます。一方で、一問一答はそれぞれが短文で構成されていて、全体のストーリーが見えない状態で答えるためにハードルが高いと考えます。また、仮に答えられたとしても多くの場合がキーワードへの反射であり、それは発展性のない知識になってしまいます。その意味でも全体像が見えやすい空欄補充系のものから取り組むことをオススメします。一問一答は知識を増やすには効率がいいので、空欄補充系が大体完成してから取り組むといいと思います。

⑤暗記用教材の答える形式は、選択肢問題をしてから適語補充へ
 答える形式にもこだわりたいところ。実はこの記事では一番ここを主張したいところです。
 家庭教師として指導している中で感じるのが、いきなり語句を覚えて書くのはかなりハードルが高いということ。これを解決するために、選択式問題を一度挟もうというのが私の提案です。
 ただ、選択式の問題にこだわると、そのような形式のものはなかなか見つかりません。しかしながら、これはすぐに解決できます。自分で選択式問題に作り変えてしまえばいい訳です。やり方は単純、3ステップ。
[1]問題を一通り眺める
[2]問題を見ながら(解きながら)模範解答を使って、別紙にランダムに答えを書いていき選択肢を作る
[3]作成した別紙の選択肢を使いながら問題を解く
このやり方で空欄補充系の問題集をやっていけば無理なく段階的に知識を習得することができます。

3 まとめ
 ここまで、無理なく段階的に受験社会の暗記を乗り越える勉強法を示していきました。ここで示した方法は中学受験・高校受験・大学受験で私が実際に教えてきたやり方になります。今回示した方法の中でも私が特に推したいのは、内容理解を今まで以上に深めることを意識すること、すぐに用語を書かせる暗記をするのではなくて、選択式から徐々にステップアップさせるべきだということです。この2つを特に意識して社会の勉強を進めれば得点すると考えます。ぜひ試してみてください。

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